中学数学「多項式」の教え方⑥ 式の計算の利用

数学

中3「多項式」⑥ 式の計算の利用。

「式の値」のつぎは「整数の性質の証明」の基本・難問をどうぞ。

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整数の性質の証明(基本)

「整数の性質の証明」の基本とはつまり、式による証明(式による説明)です。

この問題のやり方はじつは、中2数学「式による説明」の記事でくわしく解説しました。

  1. 登場人物を文字で表す
  2. 文章どおりに計算
  3. 結論の形にムリヤリもっていく
  4. 〆のことば

という4つの手順でやればいいんだと。

やり方

例3-1)連続する2つの奇数の積に1をたした数は4の倍数になることを証明せよ。

①登場人物を文字で表す

\(n\) を整数とすると、
連続する2つの奇数は
\(2n+1\) , \(2n+3\) と表せる。

②文章どおりに計算

\begin{eqnarray} & & (2n+1)(2n+3)+1 \\ &=& 4n^2 +8n+3+1 \\ &=& 4n^2 +8n+4 \end{eqnarray}

結論の形にムリヤリもっていく

\begin{eqnarray} &=& 4(n^2 +2n+1) \end{eqnarray}

④〆のことば

\(n^2 +2n+1\) は整数なので \(4(n^2 +2n+1)\) は4の倍数である。
よって、連続する2つの奇数の積に1をたした数は4の倍数になる。

 

例題3-2)連続する2つの整数では、2つの整数の積に大きいほうの数を加えると、大きいほうの数の2乗になることを証明せよ。

①登場人物を文字で表す

\(n\) を整数とすると、
連続する2つの整数は
\(n\) , \(n+1\) と表せる。

②文章どおりに計算

\begin{eqnarray} & & n(n+1)+(n+1) \\ &=& n^2 +n+n+1 \\ &=& n^2 +2n+1 \end{eqnarray}

結論の形にムリヤリもっていく

\begin{eqnarray} &=& (n+1)^2 \end{eqnarray}

④〆のことば

よって、連続する2つの整数では、2つの整数の積に大きいほうの数を加えると、大きいほうの数の2乗になる。

 

注意点

「登場人物を文字で表せない」
「使う文字が1種類か2種類か判断できない」
「結論って、なに?」
「なんでわざわざこんなことをするの…」

こんな中3生はすでに中2の段階でつまずいています。

いますぐ下の記事を読んで、復習してください↓

中学数学「式による説明」のコツと練習問題

 

そしてこの記事を読めば、

  • 6で割って2余る数
    = \(6m+2\)
  • 27で割って1余る数
    = \(27(4a+2)+1\)

などと表せることもわかりますね。

この知識を使って、以下の「商と余りの関係」の問題をやっていきます。

 

整数の性質の証明(難問)

例題4のような「商と余りの関係」の問題。

証明問題とはちょっとちがいますが、やり方は似ています。

そしてこの問題は、以下の関係式を知っていればだいじょうぶです。

(割られる数)=(割る数)×(商)+(余り)

やり方

例4-1)6で割ると2余る整数を \(A\) 、6で割ると5余る整数を \(B\) とする。\(AB\) を6で割ったときの余りを求めよ。

例題4-1は「\(AB\) を6で割ったときの余り」を求める問題。

こんな、割り算したときの余りを求める問題では、

(割られる数)=(割る数)×(商)+(余り)

この関係式を使う。

つまり、割られる数 \(AB\) を計算していって

$$  = 6 \times (\mbox{整数}) + (\mbox{余り}) $$

という形にムリヤリもっていけばいい。

だから、整数の性質の証明と同じようなやり方でいけるんです。

以下、解答例をどうぞ。

①登場人物を文字で表す

\(m , n\) を整数とすると、
\(A= 6m+2 , B=6n+5\) と表せる。

②文章どおりに計算

\begin{eqnarray} & & AB \\ &=& (6m+2)(6n+5) \\ &=& 36mn+30m+12n+10 \end{eqnarray}

③6×(整数)+(余り)の形にムリヤリもっていく

\begin{eqnarray} &=& 36mn+30m+12n+6+4 \\ &=& 6(6mn+5m+2n+1)+4 \end{eqnarray}

④答え:余り4

 

例4-2)108で割ると商が \(a\) で余りが55になる自然数がある。この自然数を27で割ったときの余りを求めよ。

例題4-2も同じような手順でいけます。

①登場人物を文字で表す

108で割ると商が \(a\) で余りが55になる自然数は
\(108a+55\) と表せる。

②文章どおりに計算…はない。

③27×(整数)+(余り)の形にムリヤリもっていく

\begin{eqnarray} & & 108a+55 \\ &=& 108a+54+1 \\ &=& 27(4a+2)+1 \end{eqnarray}

4.答え:余り1

 

注意点

この「商と余りの関係」問題でいちばん難しいのは、後半の式変形です。

つまり例題4-1でいうと

\begin{eqnarray} & & 36mn+30m+12n+10 \\ &=& 36mn+30m+12n+6+4 \\ &=& 6(6mn+5m+2n+1)+4 \end{eqnarray}

また例題4-2でいうと

\begin{eqnarray} & & 108a+55 \\ &=& 108a+54+1 \\ &=& 27(4a+2)+1 \end{eqnarray}

ってところ。

なぜ \(+10\) \(+6+4\) としたのか?

10÷6の余りが4だから。

つまり10を6でくくろうとしたら、4余るからです。

なぜ \(+55\) \(+54+1\) としたのか?

55÷27の余りが1だから。

つまり55を27でくくろうとしたら、1余るからです。

このように、数字部分もできるだけ割る数でくくるようにする。

そうしないと、以下のようなミスをしちゃいます。

\begin{eqnarray} & & 36mn+30m+12n+10 \\ &=& 6(6mn+5m+2n)+10 \\ & & \mbox{答え:余り10}\end{eqnarray}

\begin{eqnarray} & & 108a+55 \\ &=& 27 \times 4a +55 \\ & & \mbox{答え:余り55} \end{eqnarray}

どちらも、割る数より余りが大きくなってますね。

だからこれはまちがいなんです。

注意しましょう。

 

もうひとつ、商と余りの問題で気をつける点。

それは、「\(AB\) を6で割ったときの余りを求めよ」などと言われると、つい

$$ AB \div 6 = \mbox{…} $$

という式を書きたくなっちゃうことです。

でも、こんな式を書いても、商と余りの問題はできません。

1次方程式文章題③【整数・自然数】の記事でも言いましたが、割り算の整数問題では必ず

(割られる数)÷(割る数)=(商)…(余り) ×
例:30÷7=4 …2

(割られる数)=(割る数)×(商)+(余り) ○
例:30=7×4+2

上じゃなくて下の関係を使うこと。

小学校以来のクセで「÷」記号を使いたくなるのもわかりますが、徐々に慣れていきましょう。

 

ではさいごに、図形の性質の証明問題。

いわゆる \(S=al\) 問題を解説します。

  • 基本:円をふくまない図形
  • 難問:円をふくむ図形

という構成で、どうぞ。

>次ページ:図形の性質の証明

 

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