中学数学「1次方程式」文章題の解き方のコツ。
3回目は「整数の問題」「自然数の問題」について。
つまり
- ある数を求める問題
- 大小2つの数を求める問題
- わり算の問題
- 連続する整数の問題
- 2ケタの自然数の問題
これら5パターンの文章題、その解き方のコツを解説していきます。
方程式文章題がわからない・できないという中学生もだいじょうぶ。
わかりやすく丁寧に解説していくので、ひとつずつ理解していきましょう。
また塾講師や家庭教師、保護者の方もぜひ参考にしてください。
ある数を求める問題
整数・自然数の方程式文章題。
まず初めは、ある数を求める問題について。
この問題で悩むとしたら、方程式を立てるところです。
そこでむずかしいと感じる中学生は、前回の記事でおススメしたように、2段階に分けて方程式をつくるといいでしょう。
方程式を立てるときのコツ
例1)ある数を3倍して8をたすところ、まちがえて8倍してから3をたしたら、正しい答えより40大きくなった。ある数を求めよ。
この例題の場合、求めるものは「ある数」なので、一行目には「ある数を \(x\) とする」等と書きます。
次に方程式をつくりますが、ここで混乱して悩むときには、以下のように2段階に分けるのがコツです。
①正しい答え、まちがえた答えをそれぞれ x を使って表す
②等しい関係を表す文に沿って、等式をつくる
正しい答えは「ある数を3倍して8をたす」です。
よって、正しい答えは?
\(3x+8\) ですね。
またまちがえた答えは「ある数を8倍してから3をたし」です。
よって、まちがえた答えは?
\(8x+3\) ですね。
このように、まず正しい答えとまちがえた答えそれぞれを \(x\) を使って表します。
つづいて、等しい関係を表す文を、文章中から探します。
例題1の場合、「(まちがえた答えは)、正しい答えより40大きくなった」がそれです。
この文に沿って、あれこれ難しく考えず、等式をつくればいい。
$$8x+3=(3x+8)+40$$
これですね。
以上のように、方程式を立てるときに悩む場合は、
①正しい答え、まちがえた答えをそれぞれ \(x\) を使って表す
②等しい関係を表す文に沿って、等式をつくる
この2段階に分けて方程式を立てるのがコツになります。
練習問題
ちなみに例題1を最後まで解くと、以下のとおりです。
例1)ある数を3倍して8をたすところ、まちがえて8倍してから3をたしたら、正しい答えより40大きくなった。ある数を求めよ。
解答例)ある数を \(x\) とする。
\begin{eqnarray} 8x+3&=&(3x+8)+40 \\ 8x+3&=&3x+8+40 \\ 8x-3x&=&8+40-3 \\ 5x&=&45 \\ x&=&9 \end{eqnarray}
答.9
もちろんカンタンに方程式を作れるという人は、いきなり方程式をつくってかまいません。
むずかしいと感じる中学生のみ、2段階に分けるといいでしょう。
2段階に分けて方程式をつくることについては、前回の記事でくわしく解説しています↓
それでは練習問題を2つほど載せておきます。
チャレンジしてみてください。
(質問はコメント欄からどうぞ)
問1)ある数の4倍に6を加えたら、もとの数の5倍より7小さくなった。ある数を求めよ。
問2)ある数を3倍して2を引くところ、まちがえて2倍してから3を引いたら、正しい答えより12小さくなった。ある数を求めよ。
問1)13
問2)11
大小2つの数を求める問題
整数・自然数の方程式文章題。
2パターン目は、大小2つの数を求める問題について。
このような問題では、方程式を立てる以前に、求めるもの2つをどう表したらいいかに悩みます。
結論をいえば「一方を \(x\) とし、もう一方を \(x\) を使って表す」というのがコツだと、1回目の記事で書きました。
そして「どっちを \(x\) としたらいいか」についても、解説しました。
「合わせて~」「和が~」ならば、どっちを \(x\) としてもOK。
「BはAより~」「BはAの~倍」ならば、Aを \(x\) とすると。
求めるものを表すコツ(合わせて~)
例2)大小2つの数があり、和は27で、差は5である。2つの数を求めよ。
この例題では、求めるものは大小2つの数です。
そして「和は27」とあります。
このように、「和が●」「合わせて●」とあったら、
○一方を x とし、もう一方は ●-x と表せる
○どっちを x としてもOK
これがコツになります。
たとえば「大きいほうの数を \(x\) とする」としましょう。
すると、「小さいほうの数は \(27-x\) と表せる」。
これらの差が5です。もちろん大-小=5ってことです。
よって方程式はこれ。
$$x-(27-x)=5$$
あるいは「小さいほうの数を \(x\) とする」としましょう。
すると、「大きいほうの数は \(27-x\) と表せる」。
これらの差が5です。もちろん大-小=5ってことです。
よって方程式はこれ。
$$(27-x)-x=5$$
どっちで解いても、答えは「大.16 小.11」になります。
以上のように、求めるものが2つあり、「和が●」「合わせて●」ならば、
○一方を \(x\) とし、もう一方は ●\(-x\) と表せる
○どっちを \(x\) としてもいい
これが解き方のコツです。
*「差は5である」ことを使って、以下のように表してもかまいません。
つまり例題2は、ぜんぶで4通りの解き方があるということです。
求めるものを表すコツ(BはAより)
類例1)大小2つの数があり、大きい数は小さい数より7大きい。…
類例2)大小2つの数があり、大きい数は小さい数の3倍である。…
類例3)大小2つの数があり、小さい数は大きい数の半分である。…
やはり2数を求める問題で、これらの類例のように「BはAより~」という条件の問題もあります。
このように、「BはAより~」という条件文があったら、
○Aのほうを x とする
○Bは条件文どおりに表す
というのが、解き方のコツになります。
だから類例1は、「小さい数を \(x\) とする。大きい数は \(x+7\) と表せる」。
類例2は「小さい数を \(x\) とする。大きい数は \(3x\) と表せる」。
類例3は「大きい数を \(x\) とする。小さい数は \( \frac{1}{2}x\) と表せる」。
こうやって求める2数を表しましょう。
あとはそのあとに続く文にそって、等式をつくり、解くだけです。
ここまで解説した「求める数が2つある問題」について、くわしくは1回目の記事の後半で書いています。
「『代金と個数』問題のコツ(未知数が2つ)」という項目です、あわせてご参照ください↓
練習問題
では大小2つの数を求めるパターンの練習問題も載せておきます。
チャレンジしてみてください。
解き方がわからない場合はコメント欄から質問ください。
(答えは末尾に記載)
問3)大小2つの数があり、その和は42で、差は4である。2つの数を求めよ。
問4)大小2つの数があり、大きい数は小さい数の3倍である。また2つの数の和は28である。2つの数を求めよ。
問3)23と19
問4)21と7
わり算の問題
ここまでの内容はある意味、前回までの復習です。
「代金と個数」問題や「分配と年齢と貯金」問題の解き方をつかって解くことができます。
しかし整数・自然数の方程式文章題では、このような「わり算問題」も出てきます。
どのように解けばいいのか、コツを見ていきましょう。
方程式を立てるときのコツ
例3)ある数を19でわると、商は4で余りが5になった。ある数を求めよ。
この例題は、求めるものを表すことはむずかしくありません。
「ある数を求めよ」なんで、「ある数を \(x\) とする」等と書くだけです。
むずかしいのはその後、方程式を立てる段階ですね。
ここで中学生がよくやる間違いが、これ↓
$$x \div19 =4 \ldots 5$$
文に沿ってすなおに式を作るのは基本なんですが、式中に「・・・」なんて入ってたら、その方程式は解けません。
だからわり算問題に限っていえば、文章どおりに等式を作ってはダメなんです。
代わりに使うべきは、以下の等式です。
(わられる数)=(わる数)×(商)+(余り)
わり算においてはつねにこの関係式が成り立ちます。
これを使って、方程式をつくるんです。
つまりこれ。
$$x=19 \times 4 +5$$
(解くと、答えは81)
このように、わり算にかんする方程式文章題では、
(わられる数)=(わる数)×(商)+(余り)
この関係式をつかって方程式をつくるのがコツです。
ちなみにこの関係式は、中学2年時の「式による説明」や、高校1年時の「数学A 整数の性質」などでも使います。
おぼえておくとそれだけでひとつ差をつけられるコツです、ぜひ記憶にとどめておきましょう。
練習問題
では、わり算の練習問題も載せておきます。
(答えは末尾に記載)
問5)ある数の3倍を7でわると、商が5で余りが1になった。ある数を求めよ。
問6)ある数の7倍を28でわると、商が3で余りがある数自身になった。ある数を求めよ。
問5)12
問6)14
連続する整数の問題
整数・自然数の方程式文章題。
4パターン目は、「連続する整数」問題についてです。
この例題のような「連続する3つの整数」のほかにも、「連続する3つの偶数」や、「連続する3つの奇数」など、とにかく連続する数が出てくる文章題は、入試・模試・実力テスト等で特によくみかけます。
どのように解けばいいのか、その解き方のコツを見ていきましょう。
[関連記事]
求めるものを表すコツ(整数)
例題4)連続する3つの整数があって、その和は72である。この3つの整数を求めよ。
このような「連続する整数」問題でむずかしいのは、方程式を立てる以前。
つまり「連続する3つの整数を、\(x\) を使ってどう表したらいいのか」というところです。
この表し方のコツも、わり算問題とおなじく、もう覚えちゃってください。
連続する3つの整数の表し方は、以下の3通りになります。
○はじめの整数を x として、[x, x+1, x+2]
○2番目の整数を x として、[x-1, x, x+1]
○3番目の整数を x として、[x-2, x-1, x]
このうちどの表し方でもOK。
自分の好みで選んでください。
こう表せる理由は、連続する整数って1ずつ増えるからです。
[3,4,5]とか、[-11,-10,-9]とか、ぜんぶ。
だから別に連続する整数が3つじゃなくて、2つでも、4つでも、5つでも、同じ考え方で表せます。
たとえば「連続する5つの整数」だったら、\(x-2. x-1, x, x+1, x+2\) とかね。
こうして求めるものをすべて \(x\) を使って表せたら、あとは文に沿って方程式をつくり、解くだけです。
例題4であれば、以下3通りのどれかです。
いずれの解き方でも、答えは「23、24、25」になります。
以上のように、連続する整数を表すときには
\(x-1, x, x+1\) などと1ずつ増やして表す。
これがコツです。
求めるものを表すコツ(偶数、奇数)
上記の考え方を発展させれば、「連続する偶数」や「連続する奇数」も表せます。
連続する偶数は、たとえば[6,8,10]とか[-4,-2,0]。
連続する奇数は、たとえば[1,3,5]とか[-11,-9,-7]。
どちらも2ずつ増えます。
よって、連続する3つの偶数or奇数であれば、
○はじめの偶数or奇数を x として、[x, x+2, x+4]
○2番目の偶数or奇数を x として、[x-2, x, x+2]
○3番目の偶数or奇数を x として、[x-4, x-2, x]
などと表せるのです。
これでもう、連続する偶数or奇数がいくつあっても、表せますね。
たとえば「連続する4つの偶数」だったら、\(x, x+2, x+4, x+6\) とか。
「連続する5つの奇数」だったら、\(x-4, x-2, x, x+2, x+4\) とかね。
以上のように、連続する偶数or奇数を表すときには、
\(x-2, x, x+2\) などと2ずつ増やして表す。
これがコツです。
練習問題
では、連続する整数、偶数、奇数の練習問題も載せます。
チャレンジしてみてください。
不明な点はコメント欄からどうぞ。
(答えは末尾に記載)
問7)連続する4つの整数があって、その和は66である。この4つの整数を求めよ。
問8)連続する3つの偶数があって、その和は114である。この3つの偶数を求めよ。
問7)15、16、17、18
問8)36、38、40
2ケタの自然数の問題
整数・自然数の方程式文章題。
最後は「2桁の自然数」問題の解き方です。
この問題もやはり、求めるものをどう表したらいいのかに悩みます。
つまり、2ケタの自然数を \(x\) を使って表す方法に困るんです。
このコツを、お金を例にして解説します。
求めるものを表すコツ
例5)一の位が6である2桁の自然数がある。一の位の数と十の位の数を入れかえた数は、もとの数より9大きい。もとの自然数を求めよ。
この例題でわからないのは、もとの2ケタの自然数の「十の位」ですね。
よってまず「2桁の自然数の十の位を \(x\) とする」等と書きます。
ここで、中学生がよくやる間違い。それは、
もとの2ケタの自然数を「\(x6\)」としちゃう。
位を入れかえた自然数を「\(6x\)」としちゃう。
これではダメなんです。
なぜなら \(x6\) も \(6x\) も、式中では \(x\) と \(6\) のかけ算を表すからです。
たとえば34という2ケタの自然数って、\(3 \times4\) じゃないもんね。
では、34という2ケタの自然数をどう表せばいいのか、「34円」とお金で考えてみましょう。
いま、あなたは34円持っています。
10円玉は何枚ありますか?そう、3枚ですね。
1円玉は何枚ありますか?そう、4枚ですね。
ってことは、
34円=10円×3枚 + 1円×4枚
なんです。
これをより一般化すると、「○△」という2ケタの自然数は
10×○ + △ と表せる(1×は省略できる)。
これが2ケタの自然数を式中で表すときのコツなんです。
このコツを使って、例題5に出てくる2ケタの自然数をそれぞれ表すと、以下のとおりです。
例5)一の位が6である2桁の自然数がある。一の位の数と十の位の数を入れかえた数は、もとの数より9大きい。もとの自然数を求めよ。
2桁の自然数の十の位を \(x\) とする。
もとの2ケタの自然数:\(10 \times x +6 =10x+6\)
位を入れかえた自然数:\(10 \times 6 +x =60+x\)
以上のように、「○△」という2ケタの自然数は
10×○ + △ と表す。
このコツを使って、方程式文章題を解いていってください。
練習問題
ちなみに例題5を最後まで解くと、以下のとおりです。
例5)一の位が6である2桁の自然数がある。一の位の数と十の位の数を入れかえた数は、もとの数より9大きい。もとの自然数を求めよ。
解)2桁の自然数の十の位を \(x\) とする。
もとの2桁の自然数は \(10x+6\) と表せる。
また、一の位と十の位を入れかえた数は \(60+x\) と表せる。
\begin{eqnarray} 60+x&=&(10x+6)+9 \\ x-10x&=&6+9-60 \\ -9x&=&-45 \\ x&=&5 \end{eqnarray}
答.56
なお、上で示したお金の考え方をつかえば、3ケタの自然数でも4ケタの自然数でも表せます。
たとえば「□○△」という3ケタの自然数は 100×□ + 10×○ +△ です。
100円玉が□枚、と考えるだけですね。
このコツもあわせておぼえておくと、テストや入試で役立ちます。
では、最後の練習問題です。
問9)十の位が7である2桁の自然数がある。一の位の数と十の位の数を入れかえた数は、もとの数より36小さい。もとの自然数を求めよ。
問10)十の位の数と一の位の数の和が11となる2桁の自然数がある。十の位の数と一の位の数を入れかえた数は、もとの数より45大きい。もとの自然数を求めよ。
問9)73
問10)38
*連立方程式 文章題の整数・自然数問題はこちら
まとめ
中学数学「1次方程式」文章題の整数・自然数問題。
その解き方のコツをまとめます。
ある数を求める問題で、方程式をつくるときに迷ったら…
- まずそれぞれを \(x\) を使って表す
- 等しい関係を表す文に沿って、等式をつくる
この2段階に分けて方程式を立てるといい。
大小2つの数を求める問題で、求めるものを表すときには…
- 「和が●」「合わせて●」なら、どちらか一方を \(x\) としてもう一方は ●\(-x\) と表す
- 「BはAより~」「BはAの~」なら、Aを \(x\) としてBは条件文どおりに表す
わり算の問題で、方程式をつくるときには…
- (わられる数)=(わる数)×(商)+(余り)
この関係式を使う。
連続する整数・偶数・奇数の問題で、求めるものを表すときには…
- 連続する整数は \(x-1,x,x+1\) 等と1ずつ増やして表す
- 連続する偶数・奇数は \(x-2,x,x+2\) 等と2ずつ増やして表す
2ケタの自然数の問題で、求めるものを表すときには…
- 「○△」という自然数は 10×○+△
長い記事になっちゃいました、おつかれさまでした。
次回は、方程式文章題の「平均」。
中学1年生がよく数学嫌いになるところです。
その解き方のコツについて、解説します。
[関連記事]
○文章題③【整数、自然数】
コメント
問10)十の位の数と一の位の数の和が11となる2桁の自然数がある。十の位の数と一の位の数を入れかえた数は、もとの数より45大きい。もとの自然数を求めよ。
これの解き方がわかりません。
教えてください。
よろしくおねがいします。
たとえば以下のとおりです。
十の位の数をxとする。
2桁の自然数は 10x+(11-x) と表せる。
また入れかえた数は 10(11-x)+x と表せるので、
10(11-x)+x=10x+(11-x) +45
解いて x=3
よって 11-3=8
「34円」の説明はわかりやすいですね。
整数の問題は、他の文章題と関連させてもよいかもしれませんね。
(例えば、割り算の問題と過不足の問題)
問6)ある数の7倍を28でわると、商が3で余りがある数自身になった。ある数を求めよ。
ある数自身になったの意味がわかりません。
教えてください。
ある数をxとすると、
「xの7倍を28でわると、商が3で余りがxになった」という意味です。