重悟のブログ

歴史・科学・教育のオモしろくてタメになる話。

数学

ド文系が「三角比の拡張」と「ラジアン」をわかりやすく解説する

投稿日:2017年6月10日 更新日:

三角比について3回目の記事になります。
→1回目:三角比とはなんだ?何の役に立つ?どんな歴史があるの?

→2回目:三角比はいまどんな職業で役に立っているか?地図製作を例に解説する

 

これから、三角比の発展ヴァージョンである「三角関数」がどんな分野でどんな役に立っているかを見ていきます。

ただそのためにはまず、「三角関数」をおさらいする必要があります。

そして三角関数のためには、「三角比の拡張」と「ラジアン」を理解しとかないといけません。

ってことで、今日は「三角比の拡張」「ラジアン」の2つを復習します

じゅうぶん理解してるよって人は読み飛ばしてかまいません。
逆に「ラジアンって何の意味があるの?」なんて人にはおススメの記事になります。

→4回目の記事:三角関数は何の役に立つのか?ド文系が「フーリエ級数」まで解説する①


スポンサーリンク

三角比の拡張

前々回の記事で、サイン・コサイン・タンジェントを直角三角形で定義しました。

でもそれでは、θの角度が0°~90°のあいだでしか使えません。
(正確には \(0°<θ<90°\))

120°とか、330°とか、1万°でもOKにしたほうが数学としては扱いやすいわけです。

また古代から中世にかけてインドとイスラムで数学が発展すると、「0」という数も出てきて、さらには「マイナス」という概念も出てきました。
となると、数学者は「-90°」とかも扱いたくなるんです。

そこで、すべての実数を扱えるようにθの角度を拡張して、同時にサイン・コサイン・タンジェントの定義も新しくしたのが「三角比の拡張」です。

 

座標上の単位円で直角三角形を考える

拡張のしかたを以下、ちょっとくわしく見てみます。

まず上図のように、座標上に半径1の円を描きます。円の中心は原点にします。
(この円を数学用語で「単位円」といいます)

そんで円周上に点Pをとります。どこでもいいんですが、わかりやすいように右上あたりにとっておきます。

すると上図のような、ピンクの直角三角形ができますね。
点Pの座標を(x , y)とすると、底辺がx、高さがy、斜辺の長さが1の直角三角形です。

ここでサイン、コサイン、タンジェントの最初の定義より、$$sinθ = \frac{y}{1}、cosθ = \frac{x}{1}、tanθ = \frac{y}{x}$$となります。

こうして、$$\large{sinθ = y、cosθ = x、tanθ = \frac{y}{x}}$$という新しい定義が出てくるんです。

 

新しい定義の意味

このように定義しなおすと、
sinθは点Pのy座標、
cosθは点Pのx座標、
tanθは直線OPの傾き 
という意味になります。

じゃあべつに、点Pが左上にいても、左下にいても、右下にいても、それぞれsinθ・cosθ・tanθが表せますよね。

つまり例えばこういうこと↓

こうして、どんな角度でもサイン・コサイン・タンジェントが使えるようになったのでした。

もちろんマイナスもいけます、逆回りにぐるっとさせればいいわけだから。


ラジアンとは何か

次に、角度の表し方を変更します。

いままでは「60°」とか「330°」のように、一周を360等分した表示で角度を表していました。
これを「度数法」といいます。

でも度数法では、あとあと、三角関数を計算したり公式を書いたりするときに不便なんです。
(どう不便かは後で説明します)

そこで角度の新しい表し方、ラジアンが登場します。

このラジアンを使った角度表示を「弧度法」と呼びます。

 

ラジアンの定義

上図に掲げたとおり、ラジアンとは円の中心角を\(\frac{(弧)}{(半径)}\) で表したものです。

たとえば上図では、中心角は「\( \frac{π}{6}\) ラジアン」です。

ただうしろの「ラジアン」は省略することが多いですね。たんに「\( \frac{π}{6}\)」と書く場合がほとんどです。これで角度のことを言ってます。

 

なぜ半径と弧という2つの長さから、角度が表せるのか?

それは↓を見ればわかります。

式から半径 r が消えてなくなったでしょ。

だから大きさに関係なく、中心角30°の扇形なら、\( \frac{弧}{半径}\) はつねに\( \frac{π}{6}\) なんです。

じゃあ30°と\( \frac{π}{6}\) っておんなじことやん。
もういっそのこと、30°っていう表記はやめて、これからは角度を\( \frac{π}{6}\) って表そうや。

これが弧度法の発想なんですね。

 

度数法と弧度法の関係

弧度法では、180°がちょうど\(π\) (ラジアン) になります。

半円を考えて、\( \frac{弧}{半径}\) を計算してみればすぐわかります。

当然、360°は2\(π\)、540°は3\(π\) となります。
また90°は\( \frac{π}{2}\) ですね。

よく出てくる角度を下図に載せます。ついでに度数法での角度も併記しときます。

ちなみに、度数法の角度を弧度法の角度になおすには、以下の式でかんたんに求まります。$$\large{\frac{π}{180}x°} (x°は度数法での角度)$$

これは$$\begin{eqnarray}(弧度法の角度)&=& \frac{弧}{半径} = \frac{2πr × \frac{x°}{360}}{r} \\ &=& \frac{π}{180}x°\end{eqnarray}$$というようにして求まります。

これを使えば、たとえば度数法で30°の角度は、$$\frac{π}{180} × 30° =\frac{π}{6}$$ と出てきますね。

おぼえておいて損はない式です。

 

なぜ弧度法を使うのか?

さっき、「度数法ではあとあと、三角関数を計算したり公式を書いたりするときに不便」と書きました。

どう不便か、かんたんにいうと、三角関数の極限や微分を計算するときに不便なんです

こちらのサイトにうまくまとめてありましたので、ジュウゴも参考にさせてもらいました。
「高校数学の美しい物語 度数法ではなく弧度法を使うメリット」

 

ただサイトにもあるように、三角関数の極限や微分って、数Ⅲの途中から出てくるやつです。

数Ⅱ・数Bで終えたド文系のジュウゴには、だから弧度法を使う意味がよくわからなかったんですね!



このブログでは三角関数の極限や微分は取扱いません。
(三角関数の分野はフーリエ級数展開までとする予定です)

ただジュウゴの勉強がすすんだら、いつか書くかもしれません。

ってことで、数十年後のいつかのために(!)、次の記事からは弧度法の表記でいきます。

次回は「三角関数のグラフ」のおさらいです。

三角関数は何の役に立つのか?ド文系が「フーリエ級数」まで解説する①







-数学
-,


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

中学数学「文字と式」でつまずく原因と解決法⑤ 規則性の問題

中1数学「文字と式」の5回目。 今回は文字式単元の最後に、規則性の問題について解説します。 「規則性の見つけ方がわからない」 「なにかうまいコツはないのか」 そんな中学生向けに、規則性の問題がイッパツ …

中学数学「正負の数」でつまずく原因と解決法② 乗除、累乗

前回につづき、中学数学の最初の単元「正の数・負の数」を解説します。 いわゆる勉強のしかたではなく、どのように教えたらいちばん理解が早いのかという具体的な教え方を書いていきます。 正負の数でつまずいた生 …

中学数学「1次方程式」文章題の解き方②【分配、年齢、貯金】

前回につづいて、中学数学「1次方程式」文章題の解き方のコツを解説していきます。 今回は「分配問題」「年齢問題」「貯金問題」の解き方について。 文章題がわからない、できないという中学生はぜひ参考にしてく …

中1「1次方程式」でつまずく原因と解決法② 移項と基本の計算

「1次方程式」の指導法解説、2回目。 今回は移項でつまずいている中学生、また以下のような1次方程式の基本計算がわからないという中学生への対処法です。 \begin{eqnarray} 5x-2 &am …

中学数学「正負の数」でつまずく原因と解決法① 加減、かっこ外し

「中学から、数学がわからなくなった…」。 こんな生徒と対峙したとき、どう指導すべきか? 悩んでいる人も多いと思います。 私も過去13年間おなじ悩みをもち、諸先輩方に教わりながら、試行錯誤をくりかえして …

カテゴリー



スポンサーリンク


管理人の重悟(ジュウゴ)です。
30代、ライター兼ブロガー。

西洋史専攻の知識と民間教育経験を基に、
歴史と教育について書いていきます。

科学と数学についてはヘタの横好き。
ラーメンも大好き。
彼女いわく「ちょっと変態」。

重悟という人間がわかる記事はこちら