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数学

中学数学「平面図形」のコツ④ 図形の移動

投稿日:2020年1月21日 更新日:

中学数学「平面図形」のコツ、4回目は図形の移動です。

  • 平行移動
  • 対称移動
  • 回転移動

という3つの移動の性質を、まずわかりやすく振り返ります。

そのあと、よく出る応用問題を5種類、解説していきます。

とくに

「回転移動と点対称移動って何が違うの?」
「回転移動の中心の見つけ方は?」
「移動して重なる問題が苦手…」

こんな中学生は参考にしてください。

3つの移動を押さえよう

「テトリス」や「ぷよぷよ」など、いわゆる落ちゲーをやったことのある人は多いでしょう。

そういう人も、そうでない人も、平面上で図形を移動させる仕方は3種類あると気づいていることと思います。

そう、それが

  • 平行移動
  • 対称移動
  • 回転移動

の3種類です。

平行移動の性質

平行移動とは、横にすぅーっとズラす移動の仕方です。

上図でいうと、△ABCをすぅーっとズラして△PQRにする方法。

さて、この平行移動の性質を考えるために、三角形の動いた跡(あと)を描いてみましょう。

ぜんぶ描くとごちゃごちゃするんで、とりあえず3つの頂点A,B,Cが動いた跡だけ描きこんでみました(上図の青線)。

すると、図を見てもらえばわかりますが、線分AP,線分BQ,線分CRは

  • 平行で
  • 長さが等しい

となってます。

つまり記号で書くと

$$ AP /\!/ BQ /\!/ CR $$

$$ AP = BQ = CR $$

これが平行移動したときの性質になります。

3つの移動のなかではいちばんカンタンですね。

 

対称移動の性質

対称移動とは、紙を折って裏返しにする移動のこと。

あるいは鏡写しみたいな移動といってもいいでしょう。

上図でいうと、ℓを折り目として、△ABCを△PQRにペタンと折る移動方法です。

このとき、折り目の線ℓを数学用語で「対称の軸」といいます。

さて、対称移動でも頂点の動いた跡を結んでみました。

すると、線分AP,線分BQ,線分CRについて、

  • 線分APの垂直二等分線は?→ℓ
  • 線分BQの垂直二等分線は?→ℓ
  • 線分CRの垂直二等分線は?→ℓ

ということがわかる。

つまり記号で書くと

$$ A\ell_1 = P\ell_1 \quad B\ell_2 = Q\ell_2 \quad C\ell_3 = R\ell_3 $$

$$ AP \perp \ell \quad BQ \perp \ell \quad CR \perp \ell $$

これが対称移動の性質です。

「対称移動では、対応する頂点を結ぶ線分は、対称の軸によって垂直に二等分される」って日本語の意味も、ようするにこれです。

ことば丸覚えじゃなくて、イメージで理解しときましょう。

ちなみに。

小学校で習った線対称移動は、この対称移動とまんま同じです。

つまり線対称移動=対称移動。

ややっこしいですが、用語を統一してないのはわれわれ大人の不手際です、許してください。

 

回転移動の性質

回転移動とは、どっかを中心にしてグルッと回す移動のこと。

上図でいうと、Oを中心に△ABCをグルッと回して△PQRにする移動方法です。

このとき、Oを数学用語で「回転の中心」といいます。

この回転移動はけっこう自由がきいて、左右どっちに回してもいいし、回す角度も好きに決めていい。

ただやっぱり性質はあるので、頂点の動いた跡をくわしく見てみましょう。

ごちゃごちゃしてるので分けて描くと、おうぎ形(つまり円の一部)が3つできてますね↓

この図から、

$$ OA=OP \quad OB=OQ \quad OC=OR $$

$$ \angle AOP = \angle BOQ = \angle COR $$

これが、回転移動の性質です。

「回転移動だと、おうぎ形(つまり円の一部)ができるし、角度はみんな同じ」と覚えておきましょう。

ちなみに。

小学校で習った点対称移動は、この回転移動の一部です。

つまり点対称移動=180°の回転移動。

これで、小学校の知識がぜんぶ中学校とつながりますね。

以上、3種類の移動の性質でした。

ようするにみんな、頂点の動いた跡(これを数学用語で「軌跡」といいます)のことを言ってるだけ。

  • 平行移動:平行で長さが等しい
  • 対称移動:対称の軸が垂直二等分線になる
  • 回転移動:おうぎ形(円の一部)ができて、角度は同じ

これらの性質を利用して、以下、よく出る応用問題を解いていきましょう。

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よく出る応用問題

中学数学「平面図形」のうち、図形の移動でよく出る問題は、以下の5パターンです。

  1. 対称移動の作図
  2. 対称の軸の作図
  3. 回転移動の作図
  4. 回転の中心の作図
  5. 移動して重なる問題

それぞれ、例題とともに解いていきましょう。

(作図の基本とコツについては前回までの記事を参照)

1.対称移動の作図

例題1)次の図で、△ABCを直線ℓについて対称移動させてできる△PQRをかけ。

作図問題のコツのひとつは、まず完成形をイメージすることでした。

そこで出来上がりをラフに描くと、こんなかんじ↓

対応する頂点を結んだ線も、かき加えました。

するとわかるでしょう、

AP⊥ℓだし、APのまんなかがℓだと。

これはBPについてもCRについても同様です。

よって、解き方は以下のとおり。

例1解答

垂線で「垂直」を作図。

そのあとコンパスで「等しい長さ」を作図。

これを各頂点でくりかえす。

これが対称移動の作図になります。

 

2.対称の軸の作図

例題2)次の図において、円Oを対称移動させたところ円O’になった。このときの対称の軸を作図せよ。

もう描きませんが、中学生のみなさんはまず完成形をイメージしてくださいね。

完成形が描けたら、わかるはず。

対称の軸って、線分OO’の垂直二等分線になってると。

よって、解き方は以下のとおり。

対応する頂点を結んで、その線分の垂直二等分線を描くだけ。

これが対称の軸の作図になります。

 

3.回転移動の作図

例題3)次の図のような△ABCを、点Oを回転の中心として、時計回りに90°だけ回転させてできる△PQRを作図しなさい。
ただし、分度器を使わないで、定規とコンパスだけを使うこと。

例題3は回転移動の作図です。

まず完成形をイメージしましょう。

もう描かないといったけど、ちょっと難しい問題だから描くと、こんなかんじ↓

ここで、頂点Pを作図するにはどうしたらいいかと考えてみましょう。

Pは ∠AOP=90° , OA=OP のところ。

90°の作図は、そう、垂線が使えます。

よって、解き方は以下のとおり。

垂線で「90°」を作図。

そのあとコンパスで「等しい長さ」を作図。

これを各頂点でくりかえす。

これが回転移動の作図になります。

ちなみに、60°でも30°でも105°でも、前回までの記事を読んでいればできるはず。

分度器を使わないで、コンパスと定規だけでいろんな角度が描けること、あらためて確認しましょう。

[参考記事]

作図② 半分の角度

作図③ 高校入試の角度の問題

 

4.回転の中心の作図

例題4)次の図において、直角三角形PQRは、直角三角形ABCを回転移動したものである。
このとき、回転の中心Oを、作図によって求めなさい。
2017年度 大分県公立高校入試問題 1-7

今度は逆に、回転の中心を求める問題です。

このような、回転移動における回転の中心の見つけ方は、高校入試でも頻出。

ぜひこの機会に理解してください。

さて、完成形をイメージしたなら、中心Oは

  • 2点A,Pからの距離が等しい
  • 2点B,Qからの距離が等しい
  • 2点C,Rからの距離が等しい

ところってわかりますね。

点からの距離が等しい…

そう、垂直二等分線です。

よって、解き方は以下のとおり。

APの垂直二等分線とBQの垂直二等分線の交わるところが、回転の中心Oになります。

もちろんAPとCR、BQとCRの組み合わせでもかまいません。

とにかく、回転移動において、回転の中心の見つけ方は?と聞かれたら

垂直二等分線だということ。

このあたり、円の中心の作図等と考え方は似ています。

[参考記事]

作図① 垂直二等分線の特徴

 

5.移動して重なる問題

例題5)次の図は合同な直角二等辺三角形を組み合わせたものである。

(1)㋐を平行移動して重ねることのできる三角形をすべて答えよ。

(2)㋐を、直線ℓを対称の軸として対称移動し、さらに平行移動して重ねることのできる三角形をすべて答えよ。

(3)㋐を、点Oを回転の中心として180°回転移動し、さらに平行移動して重ねることのできる三角形をすべて答えよ。

最後は、移動して重なる問題です。

それぞれ自力で解いてみてください。

ポイントは

  • 平行移動:向きが変わらない
  • 対称移動:裏返し
  • 180°回転移動(点対称移動):グルッと反対側

です。

 

……

………

それでは、解答。

(1) ㋔と㋘

(2) ㋗と̪㋛

(3) ㋑と㋕

この「移動して重なる」問題が苦手という中学生は、じっさいに㋐の形の三角形を紙でつくって、すぅーっとズラしたり、裏返したり、グルッと回したりしてみましょう。

手を使うという手間を惜しまないこと。

図形問題でとっても大切なコツのひとつです。

以上、よく出る応用問題5種類でした。

質問や疑問があればコメント欄からどうぞ。

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まとめ

中学数学「平面図形」における図形の移動は、3種類。

  • 平行移動:平行で長さが等しい
  • 対称移動:対称の軸が垂直二等分線になる
  • 回転移動:おうぎ形(円の一部)ができて、角度は同じ

よく出る応用問題は、以下の5つ。

  1. 対称移動の作図
    →垂線で「垂直」を、コンパスで「等しい長さ」を作図。
  2. 対称の軸の作図
    →垂直二等分線を描くだけ。
  3. 回転移動の作図
    →角度を作図して、
    そのあとコンパスで「等しい長さ」を作図。
  4. 回転の中心の作図
    →垂直二等分線を2本。
  5. 移動して重なる問題
    →苦手な人は紙でつくってみること。

 

おつかれさまでした。

次回は平面図形のラスト、「円とおうぎ形」をやっつけます。

とくにおうぎ形問題のコツをくわしく解説する予定。

中心角・弧の長さ・面積と、それぞれの公式を覚えているような中学生は、すぐに次の記事を読んでそれをやめてください。

公式など覚えなくても、おうぎ形は解けるんです。

NEXT→中学数学「平面図形」のコツ⑤ 円とおうぎ形







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管理人の重悟(ジュウゴ)です。
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