中学数学のつまずき解消をめざすこの連載。
中3「平方根」の5回目は、近似値および式の値という応用問題を解説します。
つまり、こんなの↓
例1)\(\sqrt{2}=1.414\) , \(\sqrt{5}=2.236\) として、次の値を求めよ。
①\(\sqrt{200}\) ②\(\sqrt{2000}\) ③\(\sqrt{0.02}\) ④\(\sqrt{0.2}\)例2) \(x=6+ \sqrt{6}\) , \(y=6- \sqrt{6}\) のとき、次の式の値を求めよ。
①\(x^2 +2xy-3y^2\) ②\((2x+y)^2 -(x+2y)^2\)例3) \(x+y= \sqrt{7}\) , \(xy=3\) のとき、\(x^2 +y^2\) の値を求めよ。
それぞれの解き方のコツをわかりやすく伝えます。
定期テストや模試・入試の参考にしてください。
*なお平方根の大小問題はコツ①の記事で、循環小数を分数で表す問題はコツ②の記事で解説済みです。
*また「最小の自然数\(n\) を求める」問題と「整数部分・小数部分」の問題は次のコツ⑥の記事で解説します。
平方根の近似値の問題
こんな近似値の問題。
解き方の基本は、以下のとおり。
- ルートの中が自然数→ルートを簡単にする!
- ルートの中が小数→分数になおして有理化!
具体的に、やり方をみていきましょう。
√200と√2000の値
例題1)\(\sqrt{2}=1.414\) , \(\sqrt{5}=2.236\) として、次の値を求めよ。
①\(\sqrt{200}\) ②\(\sqrt{2000}\)
ルートの中身が自然数の場合は、まずルートをかんたんにします。
そうすると、\(\sqrt{2}\) や \(\sqrt{5}\) といった問題文にある平方根が出てきます。
あとはそこに \(1.414\) や \(2.236\) といった近似値を当てはめればいいだけ。
解答はこんなかんじです↓
\begin{eqnarray} \mbox{例1)①} & & \sqrt{200} \\ &=& 10 \sqrt{2} \\ &=& 10 \times 1.414 \\ &=& 14.14 \end{eqnarray}
\begin{eqnarray} \mbox{例1)②} & & \sqrt{2000} \\ &=& 20 \sqrt{5} \\ &=& 20 \times 2.236 \\ &=& 44.72 \end{eqnarray}
なお、\(\sqrt{200}\) や \(\sqrt{2000}\) を簡単にする計算は素因数分解を使いましょう。
やり方は以下の記事を参照。
√0.02と√0.2の値
例題1)\(\sqrt{2}=1.414\) , \(\sqrt{5}=2.236\) として、次の値を求めよ。
③\(\sqrt{0.02}\) ④\(\sqrt{0.2}\)
ルートの中身が小数の場合は、まずその小数を分数に直します。
それからルートを分母と分子に分けて、有理化してやれば、分子に \(\sqrt{2}\) や \(\sqrt{5}\) といった問題文にある平方根が出てきます。
あとは同様に、近似値を当てはめて計算するのです。
解答をていねいに書くと、こんなかんじ↓
\begin{eqnarray} \mbox{例1)③} & & \sqrt{0.02} \\ &=& \sqrt{\frac{2}{100}} \\ &=& \sqrt{\frac{1}{50}} \\ &=& \frac{\sqrt{1}}{\sqrt{50}} \\ &=& \frac{1}{5 \sqrt{2}} \\ &=& \frac{\sqrt{2}}{10} \\ &=& \frac{1.414}{10} (1.414 \div 10) \\ &=& 0.1414 \end{eqnarray}
*\(\sqrt{50}=5 \sqrt{2}\) とパッとできない人は上で紹介した「平方根」のコツ③の記事を読んでからここに戻ってきてください。
\begin{eqnarray} \mbox{例1)④} & & \sqrt{0.2} \\ &=& \sqrt{\frac{2}{10}} \\ &=& \sqrt{\frac{1}{5}} \\ &=& \frac{\sqrt{1}}{\sqrt{5}} \\ &=& \frac{\sqrt{5}}{5} \\ &=& \frac{2.236}{5} (2.236 \div 5) \\ &=& 0.4472 \end{eqnarray}
- ルートの中が自然数→ルートを簡単にする!
- ルートの中が小数→分数になおして有理化!
これが平方根の近似値問題における基本の解き方です。
なお、「有理化わすれた!」って人は以下の記事を参照。
もっとラクなやり方
例題1)\(\sqrt{2}=1.414\) , \(\sqrt{5}=2.236\) として、次の値を求めよ。
①\(\sqrt{200}\) ②\(\sqrt{2000}\) ③\(\sqrt{0.02}\) ④\(\sqrt{0.2}\)
で、平方根の近似値問題には実はもっとラクなやり方が存在します。
コツは「100」を見つけること!
突然ですが、
$$ 200= 2 \times 100 \quad 2000= 20 \times 100 $$
$$ 0.02= \frac{2}{100} \quad 0.2= \frac{20}{100} $$
ですよね。
この知識を使って、問1は以下のように解けます。
\begin{eqnarray} \mbox{例1)①} & & \sqrt{200} \\ &=& \sqrt{2} \times \sqrt{100} \\ &=& 10 \sqrt{2} \\ &=& 10 \times 1.414 \\ &=& 14.14 \end{eqnarray}
\begin{eqnarray} \mbox{例1)②} & & \sqrt{2000} \\ &=& \sqrt{20} \times \sqrt{100} \\ &=& 2 \sqrt{5} \times 10 \\ &=& 20 \sqrt{5} \\ &=& 20 \times 2.236 \\ &=& 44.72 \end{eqnarray}
\begin{eqnarray} \mbox{例1)③} & & \sqrt{0.02} \\ &=& \sqrt{\frac{2}{100}} \\ &=& \frac{\sqrt{2}}{\sqrt{100}}\\ &=& \frac{\sqrt{2}}{10} \\ &=& \frac{1.414}{10} (1.414 \div 10) \\ &=& 0.1414 \end{eqnarray}
\begin{eqnarray} \mbox{例1)④} & & \sqrt{0.2} \\ &=& \sqrt{\frac{20}{100}} \\ &=& \frac{\sqrt{20}}{\sqrt{100}} \\ &=& \frac{2 \sqrt{5}}{10} \\ &=& \frac{\sqrt{5}}{5} \\ &=& \frac{2.236}{5} (2.236 \div 5) \\ &=& 0.4472 \end{eqnarray}
つまり、\(\sqrt{100}=10\) というのをフル活用して解くんです。
こっちのほうが、式は多少長くなりますが、めんどくさい素因数分解や有理化をしなくてもいい。
「100」を見つけるこのやり方、おススメです。
ぜひ使ってください。
練習問題
以上、平方根の近似値問題のやり方を2とおり解説しました。
≪基本のやり方≫
- ルートの中が自然数→ルートを簡単にする!
- ルートの中が小数→分数になおして有理化!
≪ラクなやり方≫
- 「100」を見つける!
どちらも使えると、近似値問題はもう怖くないでしょう。
では、練習問題を用意しましたのでどうぞ。
質問はコメント欄からおねがいします。
練習1) \(\sqrt{3}=1.732\) , \(\sqrt{30}=5.477\) として、次の値を求めよ。
①\(\sqrt{300}\) ②\(\sqrt{3000}\) ③\(\sqrt{0.03}\) ④\(\sqrt{0.3}\)解答:①17.32 ②54.77 ③0.1732 ④0.5477
[平方根の記事 一覧]
- 中3数学「平方根」のコツ① 平方根とは/平方根の大小
- 中3数学「平方根」のコツ② 有理数と無理数/循環小数と分数
- 中3数学「平方根」のコツ③ 素因数分解/ルートを簡単にする計算
- 中3数学「平方根」のコツ④ 有理化/加減乗除/展開
- 中3数学「平方根」のコツ⑤ 平方根の近似値・式の値
- 中3数学「平方根」のコツ⑥ 最小の自然数n・整数部分と小数部分
次ページでは「式の値」の問題の解き方を解説します。
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