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数学

中学数学「等式の変形」でつまずく原因と、効果的な教え方

投稿日:2019年7月29日 更新日:

指導案②:項が2コ以上

つづいて、項が2コ以上ある問題の指導案です。

等式の変形につまずいている生徒には、まず前ページの「項が1コずつ」を習熟させてから、ここに移ってください。

基本問題

例5)次の等式を、[ ]内の文字について解け。

$$ \mbox{(1)} \ a+b=7 \quad \mbox{[b]} \qquad \mbox{(2)} \ 3c-5d=9e-f \quad \mbox{[f]} $$

次に、余計な項がある問題を解く。

たとえば1次方程式 \(4+x=7\) はこう解いた↓

\begin{eqnarray} 4+x&=&7 \\ x&=&7-4 \\ x&=&3 \end{eqnarray}

余計な項を移項させればよかったね。

だから(1)も、「\(b=\)~」の形に変形するには、余計な \(a\) を移項すればいい。

\begin{eqnarray} \mbox{(1)} \ a+b &=& 7 \quad \mbox{[b]} \\ b &=& 7-a \\ (b &=& -a+7) \end{eqnarray}

ちなみに右辺の解答の順番は \(7-a\) 、\(-a+7\) どっちでも正解。

ただ数字だけの項はうしろ、文字入りの項はアルファベット順に書くのが多いよ。

なぜって、300年以上つづく数学界のただの習慣だ。大人は習慣に弱いから、ここでも数学界の習慣どおりに書いていきます。

 

(2)はもうわかるね。

\begin{eqnarray} \mbox{(2)} \ 3c-5d&=&9e-f \quad \mbox{[f]} \\ f&=&-3c+5d+9e \\(f&=&9e-3c+5d) \end{eqnarray}

わかったら自分で解いてごらん。

例題4までと違うのは、余計な項があること。そして余計な項があるかどうか見抜くコツは、等式のなかに+-があるかどうか。がんばれ。

 

応用問題

例6)次の等式を、[ ]内の文字について解け。

$$ \mbox{(1)} \ 2p+6q=4 \quad \mbox{[p]} \qquad \mbox{(2)} \ 3x-8y=z+9 \quad \mbox{[z]} $$

たとえば1次方程式 \(2x+6=4\) はこう解いた。

\(+6\) を移項して

\begin{eqnarray} 2x&=&4-6 \\ 2x&=&-2 \end{eqnarray}

係数 \(2\) の逆数である \(\frac{1}{2}\) を両辺にかけて

$$x=-1$$

(1)も解き方は同じ。

\begin{eqnarray} \mbox{(1)} \ 2p+6q&=&4 \quad \mbox{[p]} \\ 2p&=&-6q+4 \\ p&=&-3q+2 \end{eqnarray}

余計な項を移項する、んで係数の逆数を両辺にかける。この順番。

 

(2)はどうだろう。

\begin{eqnarray} \mbox{(2)} \ 3x-8y&=&z+9 \quad \mbox{[z]} \\ -z&=&-3x+8y+9 \\ z&=&3x-8y-9 \end{eqnarray}

最後、両辺に \(-1\) をかければいいね。

ここまでできるようになったら「等式の変形」の基礎はバッチリだ。

これ以降はさらに難問になる、まず自分で解いて習熟すること。

 

発展問題

例7)次の等式を、[ ]内の文字について解け。

$$ \mbox{(1)} \ -9a+6b=2 \quad \mbox{[b]} \qquad \mbox{(2)} \ x=7y-21z+4 \quad \mbox{[y]} $$

(1)の解き方から見ていこう。

\begin{eqnarray} \mbox{(1)} \ -9a+6b &=& 2 \quad \mbox{[b]} \\ 6b &=& 9a+2 \\ b &=& \frac{3}{2}a+ \frac{1}{3} \\ \left( b = \frac{9a+2}{6} \right) \end{eqnarray}

最後、両辺に \(\frac{1}{6}\) をかければいいね。

ところで、\(\frac{9}{6}a\) と \(+\frac{2}{6}\) をそれぞれ約分するのって、めんどくない?めんどくさいよね。

そんな場合は、かっこで示したほうの

$$b = \frac{9a+2}{6}$$

という解答でOKです。

(なぜ \(\frac{9a+2}{6}\) はもうこれ以上約分できないのか疑問に思う中学生には、以前の記事内にその理由を書いたのでそちらの方法で説明してあげてください。)

 

(2)の問題もいけるね。

\begin{eqnarray} \mbox{(2)} \ x&=&7y-21z+4 \quad \mbox{[y]} \\ -7y&=&-x-21z+4 \\ 7y&=& x+21z-4 \\ y&=& \frac{x+21z-4}{7} \end{eqnarray}

もちろん2行目からいきなり解答にとんでもいい。

ただ両辺に \(-\frac{1}{7}\) をかける暗算がむずかしい場合は、いちど符号をぜんぶ逆にしてから、係数 \(7\) を取っぱらったほうが確実だ。

 

難問

例8)次の等式を、[ ]内の文字について解け。

$$ \mbox{(1)} \ y=3(x-p) \quad \mbox{[x]} \qquad \mbox{(2)} \ m=\frac{2a+3b}{5} \quad \mbox{[a]} $$

ここからは最初の等式にかっこや分数のある問題

これも、1次方程式の解き方を復習してからやってみよう。

\begin{eqnarray} 7&=&3(x-1) \\ 7&=&3x-3 \\ -3x&=&-3-7 \\ -3x&=&-10 \\ x&=&\frac{10}{3} \end{eqnarray}

こんなふうに、まずかっこを分配して外す、つぎに移項する、んで係数の逆数を両辺にかける。この順番だったね。

同じ順番で(1)もやってみよう。

\begin{eqnarray} \mbox{(1)} \ y&=&3(x-p) \quad \mbox{[x]} \\ y&=&3x-3p \\ -3x&=&-3p-y \\ 3x&=&3p+y \\ x&=&\frac{3p+y}{3} \end{eqnarray}

もちろん3行目からいきなり解答にとんでもいい。確実にいきたい人は符号逆にしてからやったらいい。

 

では(2)も、1次方程式の解き方を復習してからやってみよう。

\begin{eqnarray} 8&=&\frac{2x+3}{5} \\ 40&=&2x+3 \\ -2x&=&3-40 \\ -2x&=&-37 \\ x&=&\frac{37}{2} \end{eqnarray}

最初、まず両辺に \(5\) をかけて分数をなくすとラクだったよね。

同じやり方で(2)をどうぞ。

\begin{eqnarray} \mbox{(2)} \ m&=&\frac{2a+3b}{5} \quad \mbox{[a]} \\ 5m&=&2a+3b \\ -2a&=&3b-5m \\ 2a&=&-3b+5m \\ a&=& \frac{-3b+5m}{2} \end{eqnarray}

「なんか分子のはじめがマイナスはいやだ」って人は \(a=\frac{5m-3b}{2}\) でもいい。どっちでも正解です。ただ

$$ a=- \frac{3b+5m}{2} \quad \mbox{←ダメ} $$

こう書いたらペケになる。気を付けて。

 

最後に、「等式の変形」まとめとして、いちばんの難問を出す。

解いてみてごらん。

例8)次の等式を、[ ]内の文字について解け。

$$ \mbox{(3)} \ \frac{7a-b+2}{8}=\frac{3c+5d-4}{12} \quad \mbox{[c]} $$

……。

それでは解答例。

\begin{eqnarray} \mbox{(3)} \ \frac{7a-b+2}{8}&=&\frac{3c+5d-4}{12} \quad \mbox{[c]} \\ 3(7a-b+2)&=&2(3c+5d-4) \\ 21a-3b+6&=&6c+10d-8 \\ -6c&=&10d-8-21a+3b-6 \\ -6c&=&-21a+3b+10d-14 \\ c&=&\frac{21a-3b-10d+14}{6} \end{eqnarray}

両辺に最小公倍数 \(24\) をかける、約分後もかっこを残すってところがポイント。

これができたら「等式の変形」はすべて終わり。

あとはたくさん解いて「わかる」を「できる」にしていこう。

 

等式の変形はどこで役に立つのか?

数学の4分野

最後に、文字だらけの解答でいいのか不安という中学生に向けたコラムです。

「等式を変形するだけで、答えとしていいの?」

「こんな操作が数学のどこで役立つんだ?」

こう感じて手が止まっている中2へ参考ください。

関数の単元で役立つ

こういう等式の変形は、じつは今までにも役に立ってきた。

たとえば中1の反比例

$$xy=4$$

この等式、反比例を表すってなぜわかるのか?

\(y\) について解けばわかる。

両辺に \(\frac{1}{x}\) をかけて

$$y= \frac{4}{x}$$

反比例の式のカタチになったでしょ。

このように、関数単元で「\(y=\)~」の形に変形したいときに、等式の変形が役に立つ。

[関連記事]
中学数学「比例と反比例」の教え方④ 反比例の式を求める

 

だから、これから習う中2 一次関数でも等式変形の知識を使う。

一次関数ってのは「\(y=\) ●\(x+\)▲」のカタチなんだけど、等式の変形を使えば、次の等式が一次関数だってことがわかる。

\begin{eqnarray} x+2y-6&=&0 \\ 2y&=&-x+6 \\ y&=&-\frac{1}{2}x +3 \end{eqnarray}

こうして変形すれば、\(-\frac{1}{2}\) と \(+3\) っていうふたつの数値から一次関数のグラフが描けるんだ。

等式の変形って、じつはとっても大事な知識なの。

 

方程式の単元で役立つ

等式の変形は方程式単元でも役に立つ。

すでに一次方程式と等式変形が似てることは見てきたよね。

このあとすぐ習う連立方程式とも、似てます。

連立方程式ってのは穴埋めパズルみたいなもんで、たとえばこんなの↓

\begin{eqnarray} \begin{cases} 5x+4y=2 \quad \mbox{…①} \\ -3x+y=9 \quad \mbox{…②} \end{cases} \end{eqnarray}

①②両方に当てはまる \(x\) と \(y\) の正体を探すんだけど、探す方法のひとつ「代入法」ってのが、こんなのなんだ↓

②を \(y=\) の形に変形して

$$ y=3x+9 \quad \mbox{…②’} $$

②’を①に代入して

$$ 5x+4(3x+9)=2 $$

……

あと解いてくの。等式の変形、使うでしょ。

 

んでじつは、中3の二次方程式でもバッチリ使う。

二次方程式ってのは「●\(x^2 +\)▲\(x+\)■ \(=0\) 」ってカタチなんだけど、どんな二次方程式でも解ける「解の公式」ってのがあって、等式の変形で導き出します。

\begin{eqnarray} ax^2 +bx +c&=&0 \\ x^2 +\frac{b}{a}x +\frac{c}{a} &=& 0 \\ x^2 +\frac{b}{a}x +\left( \frac{b}{2a} \right)^2 -\left( \frac{b}{2a} \right)^2 +\frac{c}{a} &=&0 \\ \left( x+ \frac{b}{2a} \right)^2 &=& \frac{b^2}{4a^2}-\frac{c}{a} \\ \left( x+ \frac{b}{2a} \right)^2 &=& \frac{b^2 -4ac}{4a^2} \\ x+\frac{b}{2a} &=& \pm \sqrt{ \frac{b^2 -4ac}{4a^2} } \\ x&=& -\frac{b}{2a} \pm \frac{\sqrt{b^2 -4ac}}{2a} \\ x&=& \frac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a} \end{eqnarray}

いまはわからなくて当たり前。

でも等式の変形ができると中3、高校の数学につながるぞってことだけわかればOK。

 

図形の単元で役立つ

最後に、高校でもバッチリ等式の変形を使う例をひとつだけ。

なんのことかわからんと思うけど、たとえば図形単元で出てくる余弦定理では、こんな等式の変形を使う。

\begin{eqnarray} a^2 = b^2 +c^2 -2bc \cos A \\ 2bc \cos A = b^2 +c^2 -a^2 \\ \cos A = \frac{b^2 +c^2 -a^2}{2bc } \end{eqnarray}

…もうこれ以上例は挙げないけど、つまり等式の変形は数学のあらゆる単元でこれからしょっちゅう使うということ

だから、文字ばっかりの解答でも大丈夫。それでいいんだ。

これから出合ういろんな数学の準備なんだと思って、よくできるようになってください。

 

まとめ

中2数学 式の計算の最後「等式の変形」。
○ここでつまずく主な原因は3つ。

  1. 「移項」と「係数を1にする」がごっちゃ
  2. 係数をなくす方法が「逆数をかける」で統一されていない
  3. 文字だらけの答えでいいのか不安

○よってまず両辺に項が1コずつの問題から習熟させる。
指導の際の注意点は、

  • 1次方程式との類似から理解させること
  • 「割る」「割り算」という言葉は使わずに、「係数の逆数を両辺にかける」で統一すること

つぎに項が2コ以上ある問題を習熟させる。
指導の際の注意点は、

  • やはり1次方程式との類似から理解させること
  • 余計な項を移項する→係数の逆数を両辺にかける、という順番を守ること
  • かっこがある問題、分数がある問題はかっこや分数を取ってから

○等式の変形はこれから関数単元・方程式単元・図形単元とあらゆる数学分野で役に立つ
だから文字ばっかりの解答でも大丈夫。

 

以上、中学数学「等式の変形」でつまずく原因と、効果的な教え方でした。

学校や塾での指導案、または子どもへの家庭教育にお役立てください。

次回からは「連立方程式」単元に入ります。

NEXT→中学数学「連立方程式」の効果的な教え方① 導入と指導上の注意点







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管理人の重悟(ジュウゴ)です。
30代、ライター兼ブロガー兼講師。

西洋史専攻の知識と民間教育経験を基に、
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