英語改革で受験はこう変わる② 4技能の外部テスト一覧

英語

英語入試の変更点について、2回目の記事になります。

(その他の記事はこちらから↓)
1回目:英語改革で受験はこう変わる① 入試制度が変更される理由とは

3回目:英語改革で受験はこう変わる③ 大学入学共通テストとは何か?

 

前回は大学入試・高校入試において、英語の外部テストの利用がすでに広まっていることをみてきました。

2回目の今日は、こうした外部テストにはどんなものがあるのか、そして最近よく聞く「4技能」との関係とはどんなものかをみていきます。

なお、記事の中で大学入学共通テスト(共通テスト)に採用される外部テストを一覧にしてまとめているので、これから大学受験を考えている方は、どの資格を取るべきかの参考にしてください。

*2019年7月時点での最新情報を追記しました。


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これから資格を取っておくなら「4技能対応」のテスト

さきに4技能の話をしてしまいましょう。

英語における4技能とは「聞く」「話す」「読む」「書く」という4分野の能力のことをいいます。

それぞれ「リスニング」「スピーキング」「リーディング」「ライティング」とも呼びます。

最近はこの「4技能」というキーワードをよく聞くようになりましたね。

というのも、国が「英語の4技能をバランスよく高めていく」という方針を打ち出したからです

 

昔から日本人の英語は「文法や読み書きに強いけど、聞く・話すは弱い。とくに英語を話すことはとっても苦手」と言われてきました。

だから日本人には、英語を「話せない」ことにたいしてコンプレックスを抱く人が多いですね。

大人の学習塾として「英文読解塾」ではなく「英会話塾」が流行るのも、英語を「話す」ことが苦手だと自覚している人が多いからです。

 

そこで国は「話す」という技能も強化して、国民の英語の4技能をすべて高めていこうという方針を出しました。

具体的には、小学校からの英語導入であったり、2020年度からはじまる新学習指導要領において授業を英語だけでおこなったり、ディベートを取り入れたりといった作戦です。くわしくは以前の記事にまとめています。

 

こうした国の作戦のひとつに、「大学入試に4技能の試験をとりいれろ、自分でできなかったら4技能対応の外部テストを使え」というものもありました。

これは入試に「話す」技能も必要だったら生徒も勉強するだろう、結果として4技能とも高まるだろうという目論見あっての作戦です。

 

それでいま多くの大学が、前回の記事でもみたように、4技能対応の外部テストを入試に取り入れているわけです。

だって大学の教授たちだけで4技能すべてをテストするのってたいへんですから。

1万人の受験者がいたら1万回の英語面接なんて、「やってられねぇ!」となりますから。

というわけで、これから大学受験をひかえている人は、4技能対応の外部テストを受けて資格を取っておくことをおススメします

(塾選びについてはこちらの記事を参考にしてください。)

 

ただ、具体的に4技能対応のテストってどんなものがあるんでしょうか

またどれくらいのレベルの資格を取ればいいでしょうか?

つぎはそれをみていきましょう。

 

 

4技能対応のおもな外部テスト7つ

2017年4月現在、日本で受けられる4技能対応の英語テストは、おもに7つあります。

それぞれの内容や特徴をかんたんにみていきます。

*2018年3月、ここに挙げた民間7団体がそのまま「大学入試英語成績提供システム」への参加を認められました。

これらの団体の提供する各資格を、高校3年生の4月~12月のあいだに取得すると、大学入試英語成績提供システムをとおしてその成績が大学側に通知されます。

ただ大学によって、また学部によって、どの団体のどんな資格を入試条件にしているかが異なります。

受験生は受験予定の大学・学部の募集要項をよく読んで、以下7団体からどれを受けるか判断してください。

*と追記したとたん、2019/07/02にTOEICが大学入試英語成績提供システムから脱退しました。

「TOEIC L&R」および「TOEIC S&W」は大学入試に使えませんので、ご注意ください。

 

実用英語技能検定(英検)

日本英語検定協会(英検協会)主催。
年間300万人の日本人が受ける国内でもっともメジャーなテスト。
全国約17000会場で年3回実施される。5級から1級まで7段階の資格がある。
もっとも低いレベルである「5級」は中学初等程度で、小学生からでも気軽に受けられるのが特徴。

 

GTEC CBT(ジーテック)

ベネッセが開発・主催する高校生向けのテスト。
CBTとは「Computer Based Testing」の略で、パソコンで受験するという形式。
もととなったGTEC for STUDENTSというテストは年間90万人の中高生が受けている。
全国約60会場で年3回実施。4技能ごとに350点満点で、合計1400点満点のスコアで結果が表示される。
また4技能ごとに9段階のグレードがあり、それぞれの能力がいまどの段階で、どんなことができるのか、レポートしてくれるのも特徴。

 

TEAP(ティープ)

英検協会と上智大学が共同で開発したテスト。
TEAPとは「Test of English for Academic Purposes(研究目的のための英語テスト)」の略で、大学で学習や研究をおこなう際に必要な英語力を測るもの。
つまりはじめから大学入試のために高校2、3年生向けとして開発されたのが特徴。
年間約1.3万人が受験。約30会場で年3回実施。スコアは4技能ごとに20~100点の合計80~400点で表示される。
また国際標準規格であるCEFR(後述)のレベルとの関連も表示してくれる。
テストの難易度は英検2級くらい。

 

TOEIC(トーイック)

アメリカのテスト開発機関ETSが開発。
TOEICとは「Test Of English for International Communication(国際コミュニケーションのための英語テスト)」の略で、コミュニケーション能力を中心に測定するもの。
子ども・大人にかかわらず、国内だけで年間240万人が受験する。TOEICで4技能すべてを測るには、TOEIC Listening&Reading(L&R) と TOEIC Speaking&Writing(S&W) という2つのテストを受ける必要がある。
TOEIC L&Rは約250会場で年10回実施され、スコアは10点~990点。
いっぽうのTOEIC S&Wは約30会場で年24回実施され、スコアは0点~200点。

 

TOEFL iBT(トーフル)

おなじくETSが主催。
TOEFLとは「Test Of English as a Foreign Language(外国語としての英語テスト)」の略で、TOEICとちがい、英語圏の大学に進学を希望する人向けの英語テストとして開発された。
世界中で約70万人、国内で約8万人が年間に受験する。
国内の試験会場は約90で、年間の実施回数は40~45回ていど。iBTとは「internet-Based Testing」の略で、GTEC CBTとおなじくパソコンで受験する。
結果は0点~120点のスコアで表示される。
難易度は英検準1級~1級ていどで、けっこうむずい。

 

IELTS(アイエルツ)

ケンブリッジ大学英語検定機構などが開発・運営しているテスト。
「International English Language Testing System」の略で、おもに非英語圏の人にたいして英語の熟練度を測る。
大学入試のほか、英語圏への移住やビザの取得の認定などに使われている。
世界中で約250万人、国内で約4万人が受験。
国内会場は16ほどで、年30~40回実施。テスト結果は0~9まで0.5きざみのバンド(レベル)で表示される。
ここ数年、受験者が急増しているのも特徴。
難易度はTOEFLとおなじくらい。

 

ケンブリッジ英検

おなじくケンブリッジ大学英語検定機構が開発したテスト。
さまざまな種類のテストがあるが、一般英語にかぎるとレベル別に5つのテストがある(下からKET、PET、FCE、CAE、CPE)。
国内の受験会場は10ほどで、年2~3回実施。受験結果は英検とおなじく合格・不合格で発表される。
まだ日本での認知度は低いが、ヨーロッパでは広く浸透しているのも特徴。
ちなみにいちばんレベルの高いCPEというテストは英検1級よりもむずかしい。

 

以上、7つの英語テストを紹介しました。

自分の現状や目標にあわせて、どのテストを受けるか慎重にえらんでください。


 

外部テストのレベルを表にしてまとめ…

最後に、これら7つのテストのレベルを比較するため、表にしてまとめようと思っていました。
が!

すでに表にしてくれてる便利なサイトがありました。

それぞれのテストのレベルをくらべたい人はこちらをごらんください。

英語4技能試験情報サイトより「資格・検定試験CEFRとの対照表」

 

ちなみに、この表の左端に出てくる「CEFR(セファール)」とは、外国語の能力を6段階にレベル分けした国際標準規格のことです

日本語訳では「ヨーロッパ言語共通参照枠」といいます。

ようするに、どれくらい英語が使えるかを表す世界共通のものさしです。

A1とA2が「基礎段階の言語使用者」、B1とB2が「自立した言語使用者」、C1とC2が「熟練した言語使用者」を表しています。

ってことは、英検準2級はまだ基礎段階で、自立してもいないってことですね
おそろしや…

まあとにかく、この表も参考にしながら、いまの自分の実力を把握したり、高校入試・大学入試にどのテストを使うか検討したりしてみてください。

*2019年度の入試において、24%以上の187大学がすでに英語外部テストを利用しました。

2020年度以降、この割合はさらに増加する見通しです。

またどのレベルが入学条件・加点条件として多かったかというと、A2・B1・B2あたりでした。

たとえば九州大学の共創学部は「英検」「IELTS」でB2以上、「GTEC」「TEAP」「TOEFL iBT」でB1以上が条件。またチームナックスの母校である北海学園大学は人文・経営学部において「GTEC」A2以上、他B1以上を条件にしていました。

まだ英語資格を取っていない中学生~高校2年生は、A2・B1・B2あたりのレベルをひとつの目安にして、数年スパンで計画的に受験していくといいでしょう。

いまの高校3年生はもうがんばれとしか言えない……。たいへんだもの……。

 

まとめ

以上、英語の外部テストについてみてきました。

今回の内容をまとめるとこんなかんじです。

  • 国の方針もあって、4技能対応の英語テストが入試に使われはじめた
  • 国内で受けられる4技能対応の外部テストはおもに7つ
  • それぞれの内容や特徴、レベルの比較も参考にしながら、どのテストを受けるか考えよう

次回は英語入試においてもっともおおきな変更である

「センター試験が廃止され、大学入学希望者学力評価テスト(学力評価テスト)共通テストが導入される」

点についてみていきます。

英語改革で受験はこう変わる③ 大学入学共通テストとは何か?

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