大人がハマる、秀逸なストーリーの名作アニメ映画 厳選6作品

趣味

大人が楽しめる、重厚なストーリーのアニメ映画が好きな方へ。

今回はそんな名作アニメ映画を6本、厳選して紹介します。

選択基準もコメントも私の独断と偏見まみれですが、見て損はなし。

とくに在宅ワークで鬱々としている方々に楽しんでいただければと思います。

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち

男の生き様と死に様に涙する、ヤマトシリーズの最高傑作!

  • 原作:松本零士
  • 監督:舛田利雄
  • 公開:1978年
  • 時間:2時間31分
  • あらすじ:ガミラスとの戦いから1年後の西暦2201年、復興のすすむ地球で、古代進は未知の救難信号をキャッチする。真相をつきとめるため、かつてのヤマト乗組員たちは再終結、もはや時代遅れの艦と呼ばれるヤマトで、ふたたび地球の危機を救いに立ち上がる…。

『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』はヤマトシリーズの劇場版第2作。

第1作がテレビアニメの総集編だったのに対し、本作は完全新作です。

そして、本作こそヤマトシリーズの最高傑作!

ヤマトの発進シーンだけ見ても、それが伝わると思う↓

ディティールのこだわりに加え、ストーリーの巧みさ。

それに敵の絶望的なまでの強大さ。

そこに立ち向かう老朽艦ヤマトとおなじみの乗組員たち。

「そうだ、われわれにはまだヤマトがある!」

そこからの死闘に次ぐ死闘。

声優たちの迫真の演技。

なんで昔の声優の声ってあんなに感情を揺さぶるんでしょう?

…これ以上はネタバレになるので書けません。

男達の生き様・死に様に胸を熱くすることまちがいなし。

リメイク版のヤマトしか知らないという人には特に観てほしい作品です。

 

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

押井演出をたっぷり味わいたいならこれ!

  • 原作:高橋留美子
  • 監督:押井守
  • 公開:1984年
  • 時間:1時間36分
  • あらすじ:学園祭を明日にひかえた友引高校では、連日の準備で生徒たちが毎度のお祭り騒ぎ。その夜、諸星あたると面堂終太郎が買い出しに出かけると、明かりの消えた街で不思議な光景を目にする。夜が明けても同じ準備がつづく友引高校。養護教諭のサクラは、教師の温泉マークから「学園祭の前日がくりかえされている」と聞かされて…。

サザエさん、ドラえもん、うる星やつら…。

こうしたアニメに定番の「終わらない日常」を、登場人物たちが自覚してしまったらどうなるのか?

ここに押井監督の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の斬新さがあります。

ふつう私たちはフィクションに非日常を求めます。

このくだらない毎日とはちがう、ドキドキワクワクを期待して、映画を観るわけです。

なのに、押井守は、私たちと同じなんでもない日常の光景を映画のなかにすっと挿入してくる。

だから、押井監督作品には、ある種の切なさを感じてしまう。

映画のなかでこの日常がいつか崩れるように、私のこのくだらない毎日もいつか終わってしまうんだ、と。

このノスタルジーが好きなんです。

だから押井作品は観ちゃうんです。

『機動警察パトレイバー』『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』といった押井作品は、ジェームズ・キャメロン、ウォシャウスキー、タランティーノ、ギレルモ・デル・トロといった世界中の監督に影響を与えました。

その出発点が、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』です。

もちろん、あたるやラムたちのドタバタも健在。

観て損はない、観ないと損する映画です。

 

風の谷のナウシカ

「腐海の毒に侵されながら それでも腐海と共に生きるというのか」

  • 原作:宮崎駿
  • 監督:宮崎駿
  • 公開:1984年
  • 時間:1時間56分
  • あらすじ:巨大産業文明が崩壊して千年。錆とセラミック片におおわれた大地に「腐海(ふかい)」と呼ばれる有毒の瘴気を発する菌類の森が広がり、衰退した人類の生存をおびやかしていた。風の谷は、海風によって腐海の毒から守られる辺境の土地。その族長の娘ナウシカは腐海の蟲たちと心通わせる…。

『風の谷のナウシカ』は、ご存じ宮崎駿の代表作。

大人でも楽しめる宮崎作品といえば『もののけ姫』『風立ちぬ』などもあります。

しかし、ここはやはりナウシカを推したい。

なぜならこの作品には、宮崎作品のエッセンスが詰まってる。

つまり、宮崎駿の考える「理想の女性像」「自然との共生の仕方」という2つがいちばんダイレクトに表現されている。

特に後者は、日本人特有の自然観を表現している稀有なアニメーターという点で、宮崎駿の真骨頂。

「腐海のほとりに生きる者の定めとか」
「王蟲!ごめんなさい、あなたたちの巣を騒がして。でもわかって、私たちあなた方の敵じゃないの」

ちなみに2013年NHK朝の連続テレビドラマ『あまちゃん』でも、津波のあと、夏ばっばのこんなセリフが↓

忠兵衛さんと引き合わせてくれた海が、おらたち家族のおまんま食わせてくれた海が、1回や2回、へそ曲げたぐらいで、よそで暮らすべなんて、 おら、はなっから、そんな気持ちで生きてねえど。

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自然の猛威にたいして人間はどうあるべきなのか?

こうした視点で、トルメキアと風の谷とのスタンスの違いを捉えると、『風の谷のナウシカ』という作品に込められたテーマの奥深さが見えてきます。

もちろん、ナウシカのかっこよさもばつぐん。

もう観たという人もぜひまたどうぞ。

*なお、コロナ禍のいま、漫画版ナウシカもぜひ読んでほしい。宮崎駿の思想がもっとわかります。

浄化の神「人類はわたしなしには滅びる。お前達はその朝をこえることはできない」
ナウシカ「それはこの星がきめること…」
浄化の神「虚無だ!!それは虚無だ!!」
ナウシカ「王蟲のいたわりと友愛は虚無の深淵から生まれた!」
浄化の神「お前は危険な闇だ。生命は光だ」
ナウシカ「ちがう!いのちは闇の中のまたたく光だ!!」

『風の谷のナウシカ』7巻p201より

 

平成狸合戦ぽんぽこ

笑って泣ける、高畑勲渾身のドキュメンタリー!

  • 原作:高畑勲
  • 監督:高畑勲
  • 公開:1994年
  • 時間:1時間59分
  • あらすじ:東京郊外の多摩丘陵には、おおくのタヌキたちが平和に暮らしていた。しかしそこに多摩ニュータウン開発が迫る。生活を脅かされたタヌキたちは一致団結、「人間研究」と「化学(ばけがく)復興」を掲げ、さらに先進地の四国と佐渡から有名な変化タヌキを招聘して人間に対抗しようとする…。

『太陽の王子 ホルスの大冒険』
『パンダコパンダ』
『じゃりン子チエ』
『火垂るの墓』
『かぐや姫の物語』…。

高畑監督作品に名作数あれど、いちばん好きなのが『平成狸合戦ぽんぽこ』。

ラストシーンはもう何度も観てるのに、泣いてしまいます。

ジブリ映画は大人になればなるほど、宮崎作品より高畑作品のほうが心に刺さるようになる。

だって、高畑勲のほうがリアリストだから。

少女の心って、シータよりもかぐや姫に近いし。

弱気な男って、甲六よりもチエのおジィみたいなのが多いし。

現実って、奇跡なんか起こらず、ただ日々の生活と無慈悲な死があるばかりだし。

それでも、どっこい生きている人々への生命賛歌が、高畑作品にはある。

 

落語家を多く起用しているのも『平成狸合戦ぽんぽこ』の特徴。

古今亭志ん朝のナレーションのなんと心地いいことか。

熱田津に船乗りせんと月待てば
潮もかなひぬエンヤドットと
いまは漕ぎだす宝船

さらりと万葉集の一句を出してくるのも、高畑勲の博学ぶりがうかがえる。

あらゆる面で、ジブリの最高傑作。

ぜひ何度でもご覧あれ。

 

エヴァンゲリオン

人と世界の再生を視野に入れた壮大な世界観!

  • 原作:庵野秀明
  • 監督:庵野秀明
  • 公開:1997年~
  • あらすじ:ときに西暦2015年、セカンドインパクトによって世界人口の半分が失われた世界。14歳の少年・碇シンジは第3新東京市にある特務機関NERVに、総司令である父・碇ゲンドウによって呼び出される。それは、巨大な汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機のパイロットとなって、正体不明の敵「使徒」と戦うためだった…。

1970年代が『ヤマト』、1980年代が『ガンダム』なら、1990年代を代表するアニメはまちがいなく『エヴァ』です。

1995年から全26話のテレビシリーズとして放送され、翌年翌々年と再放送されるとまたたくまに社会現象に。

1997年にはテレビ版と異なる結末を描いた「新世紀エヴァンゲリオン劇場版」が2本公開。

エヴァの歴史はここでいったん幕を下ろします。

(DVDでは「DEATH (TRUE)2 / Air / まごころを、君に」という副題で1つにまとめられています)

 

しかし、2007年に「新劇場版」として再始動。

序(2007年)・破(2009年)・Q(2012年)・シン(2020年公開予定)の4部作として、圧倒的な映像美でエヴァが帰ってきました。

私は思春期にエヴァを観はじめて、新劇が完結する前にいい大人になってしまった。

そんな私からひとこと。

大人が観るには「新劇場版」でちょうどいい。

「旧劇」は痛々しすぎる。

でも、そんな正直すぎる庵野監督だからこそ、信頼して今でも「エヴァなら観る」と思えるんだ。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』はコロナ禍の影響で公開延期が決定されました。

『破』でテレビ版を超え、『Q』でまったく新たな展開をみせたエヴァが果たしてどうなるのか?

どこに、庵野監督はこの壮大な物語を着地させるのか?

いつになろうとも、最後まで見届けよう。

エヴァに心揺さぶられたひとりとして。

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パプリカ

夢と現実が入り混じる今敏ワールドへようこそ!

  • 原作:筒井康隆
  • 監督:今敏
  • 公開:2006年
  • 時間:1時間30分
  • あらすじ:医療研究所に勤める千葉敦子はサイコ・セラピスト。他人の夢を共有できる「DCミニ」というデバイスを使い、夢のなかでパプリカという女性を名乗って患者のトラウマや精神疾患を治療していた。ある日、医療研究所から数台のDCミニが盗み出されたことをきっかけに、現実を夢に侵される者が続出し…。

『千年女優』や『東京ゴッドファーザーズ』で知られる今敏監督の遺作。

そして「イマジネーションと現実との融合」を、これほど見事に描写したアニメ映画は他にありません。

ちなみにこの『パプリカ』、製作費は約3億円。

アニメ映画としては決して多くない予算で、これだけのハイクオリティ。

ひとえに若手アニメーターの努力と、今敏の天才のたまものです。

彼が2010年に46歳で永眠したのは日本アニメ界にとっても大損失。

彼の次回構想作『夢みる機械』を観たかったファンも多いでしょう。

なお、私が平沢進という音楽家を知ったのもこの映画。

原作者の筒井康隆をふくめて、異才3人が出会うとこうなるのかという作品です。

所長「おお、お前はいつぞや助けた揮発性の高い田舎娘。息災であったか。7時半に通りかかった余が不在通知なら、その方カップ麺のつゆと消えたであろう」
パプリカ「その節はありがとうございました。今日は、あのときのお礼に」
所長「ほお、礼とは四角いか?」
パプリカ「いいえ。このように、もっと丸いもの…」

妄想と現実が入り混じる狂気の世界、ぜひご堪能あれ。

 

名作アニメ映画で大人なホームライフを!

以上、大人向けの傑作アニメ映画を独断・偏見で6本紹介しました。

なお、ここで紹介した6作品のうち

  • うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
  • エヴァンゲリオン(テレビシリーズ、旧劇場版、新劇場版)
  • パプリカ

の3つはアマゾン・プライムビデオでも視聴できます。

>Amazonプライム・ビデオ『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』

>Amazonプライム・ビデオ『新世紀エヴァンゲリオン』

>Amazonプライム・ビデオ『パプリカ』

ぜひ気になった作品から視聴してみてください。

あなたのホームライフがすこしでも充実したならさいわいです。

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