英語改革による受験の変更点のまとめ、3回目です。
今回は大学入試の改革についてみていきます。
(前回までの記事はこちら↓)
1回目:英語改革で受験はこう変わる① 入試制度が変更される理由とは
2回目:英語改革で受験はこう変わる② 4技能の外部テスト一覧
*2019年7月現在の最新情報をもとに大幅に書き直しました。
すでにいろんなところで報道されていますが、近々センター試験が廃止されて「大学入学共通テスト(共通テスト)」という名前の試験に代わる予定です。
いつから変わるのか?
どう変わるのか?
新しい試験はどんな内容なのか?
こうした疑問について、英語をメインにわかりやすく具体的にお答えしていきます。
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いつから変わる?どう変わる?
「大学入学共通テスト(共通テスト)」がセンター試験にとって代わるのは、2020年度からです。
つまり、現在(2019年度)高校2年生の生徒たちから受けていきます。2021年1月の実施が最初となります。
もちろんいま高1や中学生、小学生の子どもたちも、大学入試の際にはこの共通テストを受けます。
ではこの共通テストは、センター試験とどうちがうのかというと、「思考力・判断力・表現力を中心に評価する」ようになるとのことです。
ん?どーゆーこと?
もっとわかりやすく言ってくれ。
(だいたい役所のことばは抽象的すぎてあかんねん。「ゆとり」とか「生きる力」とかよーわからんことばでごまかして、いちばん苦労するのは現場と親と子どもたちやっちゅーねん。ほんま無責任やで審議会の老人たちは。ブツブツ。)
ようするに、記述問題が増えるってことです。
どの教科で記述問題が出るかというと、現代文と数学Ⅰにおいて。
たとえば、大学入試センターが発表している国語の「モデル問題例」はこんな感じ。
(駐車場使用契約書の全文を載せたあとに)
駐車場使用契約を行った3か月後のある日、サユリさんのもとに、原パークの担当者から電話があった。
「もしもし、原パークですが、サユリさんですか?いつもご利用ありがとうございます。現在、サユリさんには駐車場料金を毎月21,600円払っていただいておりますが、このたび24,840円に値上げすることを決定いたしました。来月分より新料金でのお振り込みをよろしくお願いいたします。」
サユリさんは、この突然の値上げに納得がいかないので、原パークに対して今回の値上げに関する質問をしたい。契約書に沿って、どの条文の、どのような点について質問したらよいと考えられるか。解答の文末が「~について質問する。」となるようにして、40字以内で述べよ。
実際にありそうな場面!
ってか大人でも対応むずかしいで、これ!
また数学Ⅰの記述問題は、2018年度に実施されたプレテストではこんな問題が出ました。
2020年度からの大学入試では、「国語総合」および「数学Ⅰ」の教科で、こうした記述問題が導入されていく予定です。共通テストを受験予定の生徒は、日ごろから文章を読んで論点を整理する訓練、簡潔に説明する訓練、そして他人が読んでもわかりやすい記述をノートにつけていく訓練が必要になりそうです。
英語の試験はどんな内容に?
では英語の内容はどう変わるんでしょうか?
かんたんにいうと、記述式の問題が追加されて、さらにもう1つ、面接をして自分の考えを英語で発表するという問題も追加されます。
つまりライティングとスピーキングの問題が追加されるってわけです。
いままでのセンター試験はリスニングとリーディングだけでしたので、これで4技能すべてそろった問題になるということですね。
センター試験同様の「リーディング」「リスニング」のみのマーク式共通テスト、そして4技能の外部試験、この2つが併用されるようです。
つまり受験生は
- 2技能でマーク式の共通テストのみを受ける
- 4技能の認定済み外部試験のみを受ける
- 共通テストと外部試験、どちらも受ける
この3パターンから選ぶことになります。
前回の記事:英語改革で受験はこう変わる② 4技能の外部テスト一覧
じゃあ、どのパターンを選んだらいいのか?
志望する大学によってマチマチです。
なぜなら、どのパターンを採用しているかが各大学で異なるためです。
だから受験生は「第一志望の○大学なら、英検の2級だけでいい。でも第二志望の△大学なら、GTECも受けて、共通テストも受けなきゃいけない」みたいなことになります。
ひじょーにめんどくさい!
もうね、高校生も学校の先生もワヤクチャな状況。
しかもジュウゴの住む山陰は受験場所が少ないので、「来週、TEAPを受けに広島まで行ってきます」みたいな高校生が実際にいるわけです。
受験料だけで1万超えるのに、旅費と宿泊費もかけて……。
正直、英語の入試改革で得するのは誰なんだろうと思わずにはいられません。
せめて受験料だけでも、言いだしっぺの楽天・三木谷会長がぜんぶ負担してくれたらいいのに。
共通テスト、推移を見守りながら慎重に
こうした不公平に加えて、英語の入試改革には多方面からいろんな批判が出ています。
前々回の記事で追記したとおり、2019/06/18には、大学教授のグループが「民間英語試験の利用を中止すべき」という請願書を文部科学省に提出しました。各試験をCEFRで一律に点数付けするのはムリがあること、そもそも入試を目的として作られた試験ばかりじゃないことなどが理由です。
また2019/07/02には、TOEICが入試システムからの撤退を発表しました。「責任を持って対応を進めることが困難と判断した」、つまり入試制度としてやっていけないと思うからってのが理由です。
一方で、同日に英検協会は、入試システムに対応した「英検2020 1 day S-CBT」の実施概要を発表しました。それによると、第1回検定は2020年4月~7月に実施予定で、申し込みは2段階。予約申し込み(座席確保)が2019年9月、本申込み(受験会場と日時を選択)が2020年2月を予定しているとのこと。会場は高校じゃなくて公共施設とかになるみたいです。
このように、大学入学共通テストは特に英語に関して、かなり混乱しています。
構図としては、「とにかく4技能試験でやれや」と迫る国と、反対しながらもその圧力に屈しつつある大学、そして国の方針を積極的に活用しようという英検や公平性を確保できないとして撤退するTOEICなどバラバラな動きの外部団体。
つまり、子どもと保護者は置いてけぼりの状況です。
今後、共通テストがどうなるか、特に英語の試験内容がどうなるかは、いまだ不透明。
よって、現在(2019年度)高校2年生以下の生徒とその保護者の方は、推移を見守りながら慎重に判断していくべきでしょう。
外部試験を受けるのかどうか。
受けるならどれを選ぶか。
いちおう、現在の流れだと英検あたりが妥当ではありますが、これもどうなるかわかりませんからね。(上智大学を受けるならTEAP一択だしね)
「共通テストと外部試験の併用は4年間限定」って発表も、この先どうなるかわかりませんからね。
まとめ
ここまで3回にわたって、英語の入試がどのように変わってきているのか、そしてこれからどう変わっていくのか、その変更点をまとめてきました。
3回分の内容をまとめてみます。
大学入試や高校入試はすでに変わってきている。
どう変わってきているかというと、英語の外部テストを導入する方向で。
(→1回目:英語改革で受験はこう変わる① 入試制度が変更される理由とは)
いま外部テストで受けるべきは4技能対応のもの。
英検、GTEC、TEAP、TOEFL、IELTS、ケンブリッジ英検の6つが「大学入試英語成績提供システム」認定済み。
(→2回目:英語改革で受験はこう変わる② 4技能の外部テスト一覧)
2020年度からセンター試験も「大学入学共通テスト」に変わる。
国語と数Ⅰで記述問題が追加されて、英語では従来方式と外部4技能試験が併用される。
どっちを(も)受けるかは、志望大学・志望学部によって異なる。どの外部テストを受けるかも大学・学部次第。
英語改革は問題山積みなので、推移を慎重に見守って。
(今回の内容)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回からは、「日本人に英語が必要な本当の理由」について解説します。
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