いまは地元のジュウゴです。
帰省するまでは10年以上、教育コンサルティング業と塾講師をしていました。
出会った生徒・保護者は1万人以上。
とくに優秀児の親御さんからいろんなことを教わりました。
そこで今回は「小学生が家庭で勉強するようになるためのルールづくり」を紹介します。
(以前の英語の記事で紹介するといっていた内容になります)
東大・京大に進学するような生徒にヒアリングすると、決まって
「小学生のころから家庭学習の習慣があった」と言います。
そしてそんな生徒の保護者にヒアリングすると、
「かんたんなルールをつくって、家族全員で守っていたこと」が、子どもに学習習慣を身につけさせる決め手とのこと。
どんなルールを決めていたのか、まとめると5つに絞れるので、ここでぜんぶ紹介しますね。
「うちの子、家ではぜんぜん勉強しない」という親御さんはぜひ参考にしてください。
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1.毎日勉強する
1つめのルールは「毎日家庭で勉強すること」です。
当たり前と思うかもしれませんが、じゃあ実際にできている家庭とできていない家庭に分かれるのはなぜなんでしょう?
理由は「親自身の意識」にあります。
「毎日」の重要性を親が理解する
「うちの子、もう6年生になるのに家でぜんぜん勉強しないんです。『毎日すこしずつでいいから』とはいつも言うんですけどね」。
前職時代、こんな悩み(というかグチ)を保護者の多くから聞きました。
ジュウゴ自身、まだ家庭学習の大切さを子どもに伝えきれない頃は、
「すげーわかります、子どもを勉強に向かわせるのって大変ですよね」などと相槌をうつしかできませんでした。
しかしその後、優秀児の保護者の話を聞くにつれ、子どもに学習習慣をつけさせるにはどうすればいいか、だんだんわかってきました。
決め手は親の意識。
つまり、「なぜ毎日の家庭学習が大切なのか」を親自身ハッキリ理解していることが重要なのです。
「毎日」が大切である根拠
学習習慣のある生徒の親は、こんな根拠を挙げられました。
「だって、1日20分おうちで勉強したら、年間で120時間以上もちがうから」
「1日やらないと、とりもどすのに1週間かかるって、経験上わかっているから」
「私の親が学習習慣をつけてくれたおかげで、〇〇大学に進学できて、いまの私があるから」
こんなハッキリとした根拠があるからこそ、毎日の学習習慣の大切さを確信できて、子どもにも自信をもってしつけられるんです。
逆に「なんとなく」「学校の先生も言われるから」「できる子はしているから」などのあいまいな根拠では、学習習慣の大切さを確信できません。
確信できなければ、それは態度にも表われるので、一貫した姿勢で子どもに臨むこともできなくなります。
親戚が来てるし、遊園地に行くし、なんて理由で、「今日は勉強させなくてもいいか」なんて思ってしまいます。
結果として、学習習慣は身につかないんですね。
あなたは、子どもを毎日学習させることにたいして、ハッキリとした根拠を持っていますか?
それとも本心では、「そんなに毎日させなくてもいいんじゃない」と思っていませんか?
そうした親の心が子どもに伝染します。
毎日の学習習慣を身につけさせるには、まず親自身の意識からなんです。
2.勉強する場所を決める
「毎日」の重要性を親自身が納得し、子どもと共有できたら、今度は勉強する場所を決めます。
多くの保護者に聞いた結果、勉強場所は2つに分かれました。
リビングか、子ども部屋です。
リビングで勉強させるメリット
- 目がとどきやすいので、様子を観察できる
- 手助けしたり、注意したりしやすい
- 結果として子どもがきちんと勉強できる
- 下の子の見本にもなる
とくに小学校低学年の子どもの場合は、子ども部屋よりリビングでさせるという家庭が大多数でしたね。
これは低学年ほど、家庭学習に親の助けが必要だからでしょう。
ちょっとした声かけや指さしで、子どもはまた集中力を取り戻すことができますから。
(集中力のつけ方については、こちらの記事を参照↓)
小・中学生の勉強に最適!子どもの集中を高めるたった1つの冴えた方法
リビングで学習させるときの注意点としては、
- テレビやマンガなど、勉強の邪魔になるものは消したり遠ざける
- ダイニングテーブルで学習させる場合は、足置きを置いたりして姿勢をよくする
などです。
足置きというのは、イスが高くてまだ足が床に届かない場合に使います。
お風呂用のイスがいいと、よく聞きました。
子ども部屋で勉強させるメリット
- 生活の雑音から離れるので、集中しやすい
- 勉強用の机・イス・ライトなので、集中しやすい
- 勉強机はかぎられたスペースなので、整理整頓が身につく
とくに小学校高学年では、子ども部屋でさせるという家庭のほうがちょっと多かったですね。
あとリビングと子ども部屋の折衷案として、「リビングに勉強机を置く」という家庭もけっこうありました。
ただリビングに勉強机というのは、一定の広さのあることが条件になります。
またこの場合、照明に背を向けた配置だと暗くなるので、デスク用ライトが別に必要です。
(勉強用のおすすめライト・机・イスなども、またいつかまとめますね。ひとつだけおすすめライトを挙げときます↓)
子ども部屋で学習させるときの注意点としては、
- あるていど一人で勉強できるようになってから
- 最初のうちはちゃんと勉強できているかどうか、気にかけて観察する
- 一人でできたらすかさずほめて、さらなる自立をうながす
などです。
各家庭の事情にあわせて、勉強場所を決めてください。
2019/10/24追記
「大きい物音に驚く」
「静かな夜のほうが落ち着く」
こういうタイプの子が一定数いるようです。
そしてこういう子は大人に見張られることなく、部屋で学習したほうが捗るケースが多いようですね。
3.いつ・どのくらい勉強するかを決める
勉強場所と同時に、毎日いつ・どのくらい家庭学習するかの時間を決めます。
これは毎日おなじ時間にすることで、はじめて学習が習慣化してくるからです。
子どもの生活リズムと親の事情にあわせて、各家庭でルールを定めましょう。
家庭学習はいつさせたらいいのか?
小学生の親御さんたちにヒアリングした結果、もっとも多かった時間帯順に挙げると以下のとおりです。
- 夕食前
- 下校してすぐ(遊びや習い事に行く前)
- 朝早く
- お風呂のあと
- 夕食後
「夕食前」という家庭がやっぱりいちばん多かったですね。
これは夕食をつくりながらついでに子どもの様子も観察できるという理由からです。
専業主婦のお母さんの場合は「下校してすぐ」も人気がありました。
意外に多かったのが「朝早く」。5時とか6時に起きて、登校前に学習するパターンです。
朝に弱いジュウゴはいまだに信じられませんが、「慣れるとラクですよ」と言われる親御さんもけっこういました。
子どもも親も朝型の生活になっていいかもしれません。
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「お風呂のあと」と「夕食後」が少なかったのにも理由があります。
食後は脳よりも胃腸に血液が集中して、眠くなるからです。
「勉強しなさい!と叱ってもすぐトロンとする」なんて家庭は、食前の学習に切り替えてみるといいでしょう。
内容で区切る方法
次にどのくらい勉強するかを決めますが、これには2通りの決め方があります。
- 内容で区切る
- 時間で区切る
「内容で区切る」とは、1日これくらいの量をすると決める方法です。
つまり算数ドリルの2ページ分とか、漢字練習を5列とか、チャレンジ1日相当とかです。
内容で区切るメリットは、1日かならず一定の分量すすむので、子どもの達成感が大きくなる点です。
達成感はヤル気につながるので、学習習慣の定着化に一役買うでしょう。
とくに最後までやりとげないと気が済まないような子なら、内容で区切る方法のほうが向いています。
ただ内容で区切るデメリットとして、その日の調子によってはなかなか終わらないという点があります。
子どもって、日によって集中できたり、そわそわしたり、疲れていたりとさまざまですもんね。
もしなかなか終わらないときは、親の手助けが必要になるので、それは覚悟しておいたほうがいいでしょう。
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時間で区切る方法
また「時間で区切る」とは、1日これだけの時間を学習したらスパッと終える方法です。
一般的に(学年)×10分が目安と言われています。
ただこれはあくまで目安です。その子の発達段階に応じて、フレキシブルに決めたほうがいいでしょう。
そして時間を決める際には、子どもにとって「腹八分目」くらいの時間がちょうどいい。
つまり子どもが「もうちょっとできるけどな、もうちょっとしたいな」と思うくらいの時間でやめるということです。
こうすると翌日のモチベーションにつながります。
居酒屋のコース料理が思いのほか少なかったら、〆のラーメンを食べたくなるのと似ています。
まちがっても「もうちょっとで終わるから」と延長させて、腹一杯にさせないでくださいね。
時間で区切るメリットは、子どもの負担感が少ないことです。
他にもいろいろやりたいことがある、または勉強にもともと積極的じゃない子には向いているでしょう。
ただ時間で区切るデメリットとして、親がもうすこしさせたくなるという点があります。
とくにダラダラしてしまった日などは「あんたまだ半分も進んでないじゃない!終わるまでゲーム禁止!」などとつい言ってしまいがちです。
でもこれをしちゃうと子どものヤル気を削いでしまいます。腹一杯どころか、もう食べられないのに食べ終えるまでひとり机に取り残される給食のように、みじめで悲しくて「もういやだ」と泣きたくなります。
一度決めたルールは親も守り通すこと。
これが学習習慣をつけるうえでもっとも大切な心がけです。
4.電子機器の使用ルールを決める
テレビ、ゲーム、スマホ、タブレットなど、便利で魅力的な電子機器の数々。
ルールを定めずに子どもに与えると、のめりこんでしまうことも多々あります。
結果、学習習慣の定着に悪影響を与えることに。
小学生にこれらの電子機器を与える場合、どんなルールを決めたらいいんでしょうか。
テレビ・ゲームのルール作り
「テレビは1日1時間まで」というように、時間でルールを決めている家庭も多くあります。
ただ時間制の場合、特番をやっていたり、スポーツ中継があったり、ゲームの区切りがつかなかったりすると、子どもが守らないことも多いですね。
親「1時間過ぎたでしょ!」
子「いまいいとこだからもうちょっと!」
親「約束は約束!(ブチッ)」
子「ああ!なんで消すの!」
そして親子喧嘩になることもしばしば。
こうした問題の解決策として、テレビは番組内容で決めるという家庭もけっこうありました。
「月9のドラマと、録画したあのアニメだけ」などです。
またチケット制にしているという家庭もありましたね。
「皿洗い1回20分」「自分の部屋の掃除1回30分」などと決めて、じっさいに子どもがしたらチケットを渡すんです。
んでテレビを見たりゲームをするときには、子どもが払うチケットによって時間が決まると。
これ、小学生のうちから自立心が養えるかもですね。
スマホ・タブレットのルール作り
「そもそもスマホやタブレットは高校になるまで持たせない」という家庭も多かったですね。
わたしの印象としては、学力の高い子ほど、スマホ類を持つのが遅いようでした。逆に学力の低い子ほど、小学生のうちからスマホを自由に使わせてもらっていました。
これはスマートフォンが勉強の邪魔になるだけでなく、バックライトが睡眠の量と質を低下させ、記憶力はじめ脳の発達を妨げるからです。
ただスマホは送迎時の連絡やGPS機能など、子どもの安全面から必要になる場合もあります。
そういう場合は場所で管理するといいようです。
つまり「スマホを使うのはリビングのみ」「タブレットはお父さんの部屋でのみ」「就寝前にはテーブルに置いて、自分の部屋にはもちこまない」などのルールを定めるんです。
こうしたルールは自宅内でしか使えませんが、すくなくともベッドの中で深夜までSNSをしている、なんて状況は防げます。
もちろん、不適切なサイトを閲覧できないよう、フィルタリングは事前に設定しておきましょう。
スマホやタブレットはなるべく持たせない。
持たせるならフィルタリングを設定したうえで、場所で管理する。
こうして小学生のわが子がスマホにのめりこんだりすることのないようにしてあげてください。
2018年6月、WHO(世界保健機構)が「ゲーム依存症」を精神疾患として正式に認定しました。
もはやゲーム依存は治療すべき病気です。
電子機器の使用ルールを家庭で定めることがますます重要になってきているようです。
5.早く寝る
最後のルールはずばり「早く眠る」。
小学生にとって睡眠はいろんな意味で大切です。
毎日の寝る時間を決めて、健全で勉強もできる子に育てましょう。
小学生にとって睡眠が大切なワケ
- 睡眠が成長ホルモンの分泌をうながし、健全な発達につながる
- 睡眠によって記憶が整理されるので、記憶力の向上につながる
- じゅうぶんな睡眠が日中の集中力向上にもつながる
つまり「心身の健全な発達」と「学力」にとって、じゅうぶんな睡眠は必要不可欠なのです。
文部科学省の調査によると、就寝時刻が早い小学生ほど「自分のことが好きだ」と答える割合が多くなっています。
逆に就寝時刻が遅い小学生ほど「なんでもないのにイライラする」割合が多くなります。
またおなじく文部科学省による「全国学力・学習状況調査」によると、毎日同じくらいの時間に寝起きする子どもほど、平均正答率が高い傾向にあります。
→文部科学省HP「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果」
一般的に小学生の理想の睡眠時間は8~10時間です(年齢や体質によって差がある)。
ということは、毎夜9時前後には寝て、毎朝6時前後に起きる子が、心身ともに健全で、学力も高いとわかります。
もちろん家庭によって1時間ていどのずれはあっていいでしょう。
ただ毎日規則的な生活リズムで、かつじゅうぶんな睡眠時間をとっていることが重要ということです。
子どもを早く寝かすには
よって、毎日の家庭学習をイライラせずに集中してできるようになるためにも、就寝時刻のルールを決めることが大切です。
じっさい、多くの家庭では「9時」「10時」などのように、小学生の就寝時刻を決めていると思います。
ただ、子どもは毎日すんなり眠ってくれるかというと、そうでもないですね。
そこで子どもがスッと眠りに落ちるような工夫を、いくつか紹介します。
- テレビ・ゲーム・スマホなどの電子機器は就寝時刻の1時間前までにやめる
- 就寝時刻が近づいてきたら徐々に家の明かりを落としていく
- ベッドやおふとんで絵本を読んであげる
まず電子機器のバックライトは脳を興奮させます。8時以降のテレビやスマホはひかえさせましょう。
また8時以降になったら、リビングや台所など、使っていない部屋の電気を消していきましょう。人間は暗くなると自然と眠くなります。
そして、ふとんに一緒にもぐりこんで絵本を読んであげるのも効果的です。お父さん・お母さんのぬくもりを感じられて、子どもは安心して眠くなるでしょう。
まとめ
ここまで「小学生が家庭で勉強するようになるためのルールづくり」を5つ見てきました。
- 「毎日」学習することの大切さをまず親がハッキリ理解すること
- 勉強場所はリビングか子ども部屋か、わが子にあわせて決めること
- 時間帯は空腹時がおすすめ。どのくらいするかは「内容」か「時間」で決めること
- テレビなどは番組内容で決めるかチケット制で。スマホは場所で管理する
- 規則的な生活リズムを定めて、じゅうぶんな睡眠時間を
以上5つのルールを家庭ごとに決めてみてください。
決める際には家族全員で話しあって、もちろん子ども自身も納得できるものにすることが大切です。
そして一度家庭内のルールを決めたら、大人もしっかり守ること。
子どもは親の背中を見て育ちます。
学習習慣を定着させるために、まずは1か月、親子でがんばってみてください。
さて、ここまで肝心な内容を話していませんでした。
「家庭学習って、内容は何をさせたらいいの?」という話です。
これについては次の記事で紹介します。
次の記事→小学生の家庭学習は3つだけでOK。中学・高校につながる内容とは
(英語の家庭学習についてはこちらの記事も参考にしてください)
コメント
わかりやすかったです。