1960年代のフォークデュオ、Simon & Garfunkel(サイモン&ガーファンクル)。
ジュウゴは小学生の時分から好きでずっと聴いてますが、最近やっとその歌詞の意味がちゃんとわかってきた。
英語学習でもなんでも、継続は力なりだ…。
ってことで、日本語訳を公開していきます。
1回目は「The Sound of Silence」。
セクションごとに注釈もつけて、曲の内容をわかりやすく紹介していきます。
The Sound of Silence とは
アメリカ生まれのポール・サイモン(右)とアート・ガーファンクル(左)のデュオ、Simon & Garfunkel 。
1964年にデビューし、1965年に初のヒット曲となったのがこの「The Sound of Silence(サウンド オブ サイレンス)」です。
元々は「水曜の朝、午前3時」というアルバムに入っていた曲で、それをプロデューサーが勝手にアレンジしてシングルカットしたところ、全米1位を獲得。
サイモン&ガーファンクルは一躍有名となりました。
ちなみにアルバム表題曲の「Wednesday Morning, 3 A.M.」もいい曲なんです。
その曲調と2人のハーモニー、そしていかようにも解釈できる奥深い歌詞が、The Sound of Silence の魅力です。
では、わたしなりの日本語訳とともに、どうぞ。
セクション1:ひとつのビジョン
Hello darkness, my old friend
暗闇、ぼくの旧友よ
I’ve come to talk with you again
また君と語らいに来た
Because a vision softly creeping
ひとつのビジョンがそっと忍び寄り
Left its seeds while I was sleeping
寝ている間に種を残していったから
And the vision that was planted in my brain
そして脳に植え付けられたこのビジョンは
Still remains
いまもここにある
Within the sound of silence
静寂の響きと共に
*still=コアイメージは「固定されていて、未だ動いていない」。
→副詞「まだ」、形容詞「静かでシンとした」などとなる。
*the sound of silenceをどう訳すかはいちばん悩むところ。
sound をケンブリッジ辞書で引くと「something that you hear」。
つまり「聞こえてくる何か」。
よってあえて和訳するなら「沈黙の音」「静寂の響き」などか。
*このあとの4セクションで、「ぼく」の脳に残っているビジョン、その内容が語られていく。
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セクション2:ネオンライトの閃光
In restless dreams I walked alone
急き立てられる夢の中 ぼくはひとり歩いた
Narrow streets of cobblestone
石畳のせまい道を
‘Neath the halo of a street lamp
街灯の輪光の下で
I turned my collar to the cold and damp
寒さと湿り気に ぼくは襟を立てた
When my eyes were stabbed by the flash of a neon light
そのとき両目を突き刺したのは ネオンライトの閃光
That split the night
それは夜を切り裂き
And touched the sound of silence
そしてぼくは静寂の響きに触れた
*restless=休みのない、そわそわした、などの意味。
dreams と組み合わさっているので、ここでは「急き立てられる」と訳した。
*halo=光の環、後光などの意味。
*touchedに主語はないが、文脈上「ぼく」だと思われる。
つまり、ネオンライトのまばゆい光の中でぼくは初めてsound of silenceに触れる。
セクション3:サイレント マジョリティ
And in the naked light I saw
剥きだしの光の中 ぼくは見た
Ten thousand people, maybe more
一万人、おそらくもっと多くの
People talking without speaking
声を発せず語る人々を
People hearing without listening
耳を傾けず聞く人々を
People writing songs that voices never share
かれらは書いている 決して唄われることのない歌を
And no one dare
そして誰もあえて
Disturb the sound of silence
静寂の響きを乱そうとはしない
*dare=「あえて~する」という助動詞。
*disturb=「平穏さを乱す」という動詞。
ちなみにpreventは「あらかじめ予防する」、hinderは「邪魔をする」という意味。
*「声を発せず語る人々」「耳を傾けず聞く人々」「声が決して共有しない歌を書いている人々」という歌詞が、静寂の世界における人々のさまを表している。
セクション4:ぼくの声は届かない
“Fools,” said I, “You do not know
「愚か者よ」ぼくは言った、「君たちは知らないんだ」
Silence like a cancer grows
「静寂は癌のように広がることを」
Hear my words that I might teach you
「ぼくの言葉を聞け、伝わるかもしれないから」
Take my arms that I might reach you”
「ぼくの腕を取れ、君に届くかもしれないから」
But my words like silent raindrops fell
でもぼくの言葉は 音のない雨粒のように落ちて
And echoed in the wells of silence
静寂の井戸の中 こだまするだけだった
*might=助動詞mayの過去形だが、現在形で使われる場合、
mayは50%くらいの確率で「~かもしれない」
mightは20%くらいの確率で「~かもしれない」。
つまり「ぼく」は、my wordsがteach youする可能性は低い、my armsがreach youする可能性も低いと感じているけれど、それでも、なんとか、という感じで言っている。
セントラルパーク・コンサート [ サイモン&ガーファンクル ]
セクション5:ネオンの神
And the people bowed and prayed
そして人々は頭を垂れ 祈った
To the neon God they made
かれらが作ったネオンの神に
And the sign flashed out its warning
すると啓示が 警告の光を放つ
In the words that it was forming
それが形作る 言葉の中で
And the sign said
そして啓示はこう言った
“The words of the prophets are written on the subway walls
And tenement halls”
「預言者の言葉は 地下鉄の壁や安アパートの入り口に書かれている」
And whispered in the sounds of silence
そう囁いたんだ 静寂の響きたちのなかで
*prophet=「預言者」。
神の言葉を預かって、神に代わり告げる者。
ユダヤ教でいうアブラハムやモーセなど、キリスト教でいうイエス、そしてイスラーム教でいうムハンマド。
*sign=「記号」という意味ととともに、「啓示」「神のお告げ」という意味もある。
つまり「それが形作る言葉の中でthe signが警告の光を放つ」とは、ネオンサインが商品名や企業名・店名などを浮かべている光景に、神のお告げをダブらせている。
*最後だけ、the sounds of silenceと、soundが複数形になっている。
これはネオンサインのきらめく街がひとつではないこと、つまり世界中のあらゆる場所で静寂は響いているのだということを表している。
いかがでしたか。
「The Sound of Silence」の歌詞はいかようにも解釈できます。
ケネディへのレクイエム、資本主義と格差社会への皮肉、声をあげないマジョリティへの抑圧…。
しかし、曲は解釈するものではなく、味わうもの。
解釈などという整然とした論理に直される前の、心に直接響く生々しい何かを、ぜひ感じていただければと思います。
2回目は「The Boxer」の歌詞を和訳してみます。
NEXT→Simon & Garfunkel の歌詞を和訳② The Boxer
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