近代科学の特徴って何?それまでの科学とどうちがうの?

科学の歴史

こんにちは、重悟(ジュウゴ)です。
今回は「近代科学の特徴」について解説します。

このページを開いた人は、すでにベーコンやデカルト、ガリレイやニュートンなんて人物もご存じだと思います。

かれらの活躍した時代が17世紀。

そしてこの17世紀に、いままでの科学とはちがう「近代科学」が生まれます。

 

ただ、この「近代科学」って何なの?

それまでとどうちがうの?

という疑問をもつ人も多いでしょう。

wikipediaはじめいろんなサイトを読んでみても、なにやら難しいことばが並んでいて、わかったようでよけいにわからなくなってしまいます。

もっとかんたんに、「ようするにこういうこと!」と解説してくれるページがないものか探しましたが、どこにもありませんでした。

それで自分で作っちゃったわけです。

科学についてまったくの素人でもわかるように、ていねいに解説していきますので、どうぞ最後までお付き合いください。

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そもそも科学ってなに?

近代科学を説明するまえに、そもそも科学って何なのか理解する必要があります。

科学のうえにさらに「近代」がくっついて「近代科学」になるわけですからね。

科学とは「自然の不思議を説明しようとする学問」

科学とはかんたんにいうと、身のまわりのいろんな現象について説明しようとする学問です

「自然科学」とか「サイエンス」とも言います。

 

わたしたちのまわりでは常にいろんな不思議がおこります。

投げ上げた石が落ちてきたり、磁石が鉄をひきつけたり、雨がふったり、地震がおこったり、地面のなかでダイヤモンドが出来上がったり、子どもの顔が親に似ていたり。

「なぜこんなことが起こるんだろう?」という疑問に答えようとするのが科学です。


昔は「科学」という学問がなかった?

科学はむかしからあらゆる文明でおこなわれてきました。

自然を不思議に感じるのは古今東西おなじですからね。

古代ギリシア時代が有名ですが、中国でも、エジプトでも、イスラームでも、南米でも、昔からずっと人々はいろんな現象について説明しようとしてきました。

 

ただ昔は「科学」という独立した分野がなくて、宗教や哲学などの一部でした。

ニュートンが活躍した17世紀でもそうです。

だからニュートンの代表作も『自然哲学の数学的諸原理』というタイトルになっています。

ヨーロッパでは自然について説明しようとする分野は「自然哲学」などと呼ばれていたわけです。

 

それが17世紀以降、この「自然哲学」の分野がものすごく発展します。

やがて一大分野にまで成長します。

そこでこの学問に名前をつけようということになって、「science」、つまり「科学」と名付けたのでした。


「近代科学」という概念が生まれたワケ

いまでは科学のなかにもいろんな分野ができて、さらに発展しています。

教育上の区分でいくと「物理」とか「地学」とか「化学」とか「生物」というぐあいですね。そのなかでもさらに「運動力学」「電磁気学」「気象学」「地震学」などというぐあいに分かれます。

また科学は技術とむすびついて、たくさんの発明を生み出しました。電磁気学をつかった発電などもその例のひとつです。

こうした技術がわたしたちの生活をとっても便利にします。電気のない生活なんてもう考えられないですもんね。

つまり人類の生活は科学によって劇的に変化したわけです。

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そこで、こんなに発展して、こんなに生活を変化させた現代の科学は、いったいいつどこで生まれたんだろうという疑問がうまれます

それがどうやら17世紀のヨーロッパらしいと。

ガリレイとかニュートンの活躍のおかげらしいと。

それで、17世紀以降のヨーロッパの科学を「近代科学」と呼ぶようになったわけです

 

近代科学は、たしかにそれまでの科学とはちがっていました。

ではどこがちがうのか?いよいよ本題に入ります。

 

近代科学の特徴は「現象を量ろう」とした点

近代科学の特徴とは

近代科学がそれまでの科学とちがっていた点。

それは「なぜこんな現象がおきるんだろう」という疑問をいったん置いといて、「とにかくこの現象をいろんな量で表そう」としたところにあります

つまり、なぜ石は落ちるんだろうという究極の疑問には手をつけずに、石の重さとか、落ちる時間とか、距離とか、速さとかの「量」をとにかく量ったのです。

これがそれまでの科学とまったくちがう方法でした。

そしてこの方法を最初にはじめたのは、あのガリレオ・ガリレイです

ガリレオ・ガリレイ
(wikipedia)

アリストテレスが石の落下を説明すると…

ガリレイの方法の新しさは、古代ギリシアの哲学者アリストテレスの説明とくらべてみるとよくわかります。

アリストテレスが石の落ちる理由を説明するとこうなります。

「まずこの世界は4つの元素でできている。

土と水と空気と火だ。

それぞれの元素には本来の場所があって、土・水・空気・火という順番に、地球の中心から遠ざかった場所を居場所とする。

すべての物体は、本来の居場所に向かおうとする。これが自然な運動だ。

だから、自然な運動の結果、地球の中心には大地ができ、その上に海ができ、その上に大気ができた。火はさらに上にのぼっていく。

いま、高い塔のてっぺんから石を離したとする。

石は土のかたまりだから、本来の居場所、つまり地球の中心にむかって落ちはじめる

これが石が落ちてくる理由である」。

 

いかがですか。

「そんなわけないやろ」なんて言わずに、アリストテレスの言い分をしっかり聞いてみてください。

彼は「なぜ石が落ちるのか」という疑問にしっかり答えようとしていますね。

これが近代より前の科学なわけです。


ガリレイが石の落下を説明すると…

つぎに、ガリレイの説明を聞いてみましょう。

「なぜ石は落ちるのか。

そんなことを考えてもラチがあかない。だからわたしは何も言わないようにする。

それより石が落ちるという現象をいろんな角度から量ってみよう。

まず石の重さだ。100gだ。

つぎに石の落ちる時間だ。4秒間で地面に着いた。

つぎに石の落ちる距離をはかってみよう。1秒たったら16m落ちた。2秒後には64mだった。3秒後には144mだった。4秒後には256m落ちて、地面に着いた。

ここから石の落ちる速さも量ることができる。速さとは距離÷時間を計算したものとしよう。1秒後の石の速さは16m/秒だ、16÷1で計算した。おなじように計算して、2秒後は32、3秒後は48、4秒後は64という速さになる。

最後に、1秒ごとの速さの変化を見てみよう。なぜって、わたしの思いつきだ。1秒後から2秒後までは32-16で16の変化。2秒後から3秒後までは48-32で16の変化。3秒後から4秒後までは64-48で16の変化。

なんだ、ぜんぶ16じゃないか。これは大発見だ」。

いかがですか。

え、数字がたくさんでてきてイヤになったって?

そんなこと言わずに、ガリレイが最後に「大発見だ」といった部分をもういちどよく考えてみてください。


「なぜ」を棚上げして現象を量るメリットとは

ガリレイは「なぜ石が落ちるのか」という問題を棚上げしました。

それに代わって、石の落ちる時間や距離や速さを量りました。

すると最後に、1秒ごとの速さの変化がずっと16で一定であるという不思議にぶつかりました。

これがポイントなのです。

つまりガリレイは、「なぜ石が落ちるのか」という問題を、「なぜ石の速さの変化はずっと16なのか」という問題に変えたのです。

そして、問題のなかに数字が入っていたら、わたしたちはそれを解決するための便利な道具をもっています。

そう、数学です。

 

量れるところだけ量る、あとは知らんぷり。これが近代科学だ。

数学のくわしい話は数学のまとめページで書いていますが、とにかくガリレイは、あらゆる現象の量に注目して、いろんな量をはかることで、問題を数学におきかえたのです。

これはそれまでの、現象がなぜおこるのか、その目的を説明しようとしていた科学とはぜんぜんちがいました。

これがいろんなサイトでいわれるところの「現象の目的的な説明から、現象を定量的に数学で表現するようになった」という文の意味です。

 

近代科学の特徴はこれに尽きます。

現象の量れる部分だけに注目して、量る。あとは知らんぷり。

この態度が近代科学なのです。

 

ただこの態度によって、副産物というか、結果として生まれきたよっていう特徴もあります

ちょっと長くなったので、つづきは次回に。

次回は近代科学の副産物と、そこで数学が果たした役割についてみていきます。

NEXT→近代科学の特徴その2。いろんな副産物と、数学のはたした役割

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コメント

  1. tm より:

    諸々の記事、とても読みやすいです。
    期待しております。

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